試用期間だけ契約社員になる働き方はやめとくべき?理由と入社前の確認

働き方別(正社員・バイト・パートなど)

試用期間だけ契約社員はやめとけ?会社がそうする理由と入社前の確認

更新日 2026-10-05

試用期間だけ契約社員はやめとけ?会社がそうする理由と入社前の確認(試用期間ナビの記事)
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試用期間中に働いている人のために、労働基準法・労働契約法の条文と厚生労働省の資料を確かめて記事を書いています。個別の判断が必要なときは、労働局の総合労働相談コーナーや弁護士への相談をおすすめしています。

試用期間だけ契約社員として雇う形は、それだけで違法ではなく、一律に「やめとけ」とも言えません。分かれ目は、契約期間と正社員になる条件が書面にはっきり書かれているかと、正社員になれなかった時にどうなるかの2つです。

最高裁は、適性を見るために期間を区切った契約は、期間満了で当然に終わるという明確な合意などがない限り試用期間と解されるとしています(神戸弘陵学園事件)。一方で、更新の上限と、期間の定めのない契約に変わる条件が規程にはっきり定められていた事案では、満了時に当然に無期契約になるとはいえないとした最高裁判決もあります(福原学園事件)。どちらに近いかは書面の書き方で変わるので、入社前に条件を書面で確かめることが判断の材料になります。

この記事の要点

  • 試用期間を契約社員として過ごす形を禁止する法律はない。ただし求人で、試用期間と契約期間を示すことになっている
  • 正社員の試用期間と違い、契約期間の満了という終わり方が残る。働く側も、期間の途中は自由に辞めにくい
  • 求人に書かれていなかったのに契約社員と言われたら、署名する前に理由と条件を書面で確かめる
  • 正社員になる基準・時期・過去の実績・なれなかった時の扱いを、入社前に聞いて書面に残す

結論:やめとけかどうかは、書面の中身で判断する

試用期間だけ契約社員の求人を受けるかどうかは、会社の説明と書面で次のように見分けます。

あなたの状況 目安 理由
契約期間・更新・正社員になる条件と時期が書面にあり、質問にも具体的に答えてくれる 条件に納得できれば検討できる 後から「聞いていない」となりにくい
正社員になる条件が「頑張り次第」など口頭だけで、書面に残らない 慎重に考える 裁判では、規程や契約書の定め方が結論を左右している
求人には正社員とだけあり、契約社員で始まると入社直前に知らされた 理由を確認してから決める 求人では試用期間と契約期間を示すことになっている
登用の基準や実績を聞いても答えがなく、書面にすることも断られる 見送りも考える 入社後に頼れる判断材料がない

条件を聞いた時に、具体的な答えと書面が返ってくるかどうかも、入社を決める材料になります。

試用期間だけ契約社員にする理由(なぜ)と、正社員の試用期間との違い

正社員の試用期間は、期間の定めのない契約の最初の一部です。試用期間中だからといって、契約社員扱いになるわけではありません。これに対して「試用期間だけ契約社員」は、最初に6か月・1年などの期間を決めた契約を結び、その後に正社員として契約し直す形です。

会社がこの形を選ぶ理由は会社ごとに違いますが、法律の上での大きな違いは、契約の終わり方にあります。

比べる点 正社員の試用期間 試用期間だけ契約社員
契約期間 定めなし 6か月・1年など
会社が試用期間の終わりに辞めてもらう時 本採用の拒否。客観的に合理的な理由が要る 期間満了で更新・登用しない形。ただし適性を見る目的なら試用期間と解され、理由が問われることがある
会社が期間の途中で辞めさせる時 客観的に合理的な理由(労働契約法16条) やむを得ない事由(同17条)
働く側が辞める時 申し出から2週間で終わる(民法627条) 原則は期間満了まで。会社の合意かやむを得ない事由が要る(民法628条)
正社員になる時 本採用でそのまま続く 正社員として契約し直す(登用)

会社から見ると、契約期間の満了という区切りを置いたうえで、正社員の契約を結ぶかを決められる点が、正社員の試用期間との違いです。ただし、その区切りがあれば自由に終わらせられるわけではないことは、次の章の裁判例のとおりです。

契約社員の試用期間の長さや、期間の途中の退職・解雇のルールについて詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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違法になる?判断が分かれた2つの最高裁判例

試用期間を契約社員として過ごす形を禁止する法律の規定はありません。問題になるのは、期間満了で終わらせる時と、求人や契約の示し方です。

期間満了で終わらせる時について、厚生労働省「確かめよう労働条件」が紹介している2つの最高裁判例は、結論が分かれています。

比べる点 神戸弘陵学園事件(平成2年6月5日) 福原学園事件(平成28年12月1日)
どんな事案か 私立高校の常勤講師。契約期間1年として採用され、期間満了で終了とされた 短期大学の非常勤講師。1年契約・更新の上限3年で、初回の更新をされなかった
重視された点 1年の期間満了で当然に終わるという明確な合意があったとするには疑問が残った 更新の上限と、無期契約に変わる条件(勤務成績を考慮して法人が必要と認めた場合)が規程に明確で、本人も認識していた。上限の満了後に無期契約にならなかった人も複数いた
結論 適性を見る目的の期間は、特段の事情がない限り試用期間と解される。満了で終えるには本採用の拒否が許される場合でなければならない 3年の満了時に当然に無期契約になるとはいえない

神戸弘陵学園事件では、試用期間中の人がほかの人と同じ職場で同じ仕事をし、扱いにも違いがなく、本採用の時に契約書を作り直す手続きもとられていないような場合は、解約権を残した契約と解されるとも述べています。

求人と契約の示し方では、次の決まりがあります。

  • 求人では、試用期間に関する事項と契約期間を示す。試用期間中と終わったあとで条件が違う時は、それぞれを示す(職業安定法施行規則4条の2)
  • 求人の情報について、うそや誤解を生じさせる表示をしてはならない(職業安定法5条の4)
  • 契約を結ぶ時は、契約期間や更新の基準などを書面で示す。示された条件が事実と違えば、働く側は即時に契約を解除できる(労働基準法15条)

試用期間だけ契約社員のデメリット

働く側から見たデメリットと、入社前にとれる対策を並べると次のとおりです。

デメリット 中身 対策
正社員になれず、満了で終わる可能性がある 登用は会社の判断とされることがある(福原学園事件) 登用の基準・時期・実績を聞き、書面に残す
期間の途中は辞めにくい 会社の合意かやむを得ない事由が要る(民法628条) 最初の契約期間がどれだけ長いかを確かめる
正社員になる時に、もう一度試用期間を置かれることがある 見習の期間で適性を判断できるのに、さらに試用期間を重ねる必要はないとした裁判例もある(ブラザー工業事件) 登用後に試用期間があるか確認する
賞与・手当などの待遇が正社員と違うことがある 正社員との不合理な待遇差は禁止され(パートタイム・有期雇用労働法8条)、違いの理由の説明を求められる(同14条2項) 昇給・賞与・退職手当の有無を書面で確かめる(同6条で文書で示すことになっている)

一方で、契約期間の満了の時には、更新や登用を断って辞めることもできます。会社の雰囲気や仕事が合うかを、期間を区切って見られるのは、働く側にとっての利点です。

「試用期間は契約社員なんて聞いてない」時の対処

求人では正社員と書かれていたのに、内定後や入社の手続きで「最初の半年は契約社員」と言われることがあります。厚生労働省のQ&Aは、求人票の条件は、採用時などに双方が合意して変えたといえる特段の事情がない限り、契約の内容になると考えられると説明しています。

次の順番で進めます。

  1. 求人の画面や求人票を保存する:URL・掲載日・「雇用形態」「試用期間」の欄が分かるように残す
  2. 労働条件通知書の「契約期間」と見比べる:期間の定めありになっていないか、更新の基準・上限はどう書かれているか
  3. 理由と条件を書面で聞く:契約社員の期間、正社員になる基準と時期、なれなかった時の扱い
  4. 納得できるまで署名しない:契約書に署名すると、期間の定めのある契約に変えることに合意したと判断されることがある(千代田工業事件・大阪高裁 平成2年3月8日)
  5. 相談する:ハローワークの求人ならハローワークに申し出る。求人サイトや紹介会社の求人なら都道府県労働局の職業安定法の担当窓口、労働条件全般は総合労働相談コーナー

署名の扱いについては、求人票では「期間の定めなし」だったのに、署名押印を求められた労働条件通知書では1年契約とされていた事案で、署名が本人の自由な意思によるものとは認められないとして、変更の同意を否定した裁判例もあります(福祉事業団A苑事件・京都地裁 平成29年3月30日)。ただ、署名したあとに争うのは手間も時間もかかるので、署名する前に確かめるのが確実です。

会社に聞く時は、次のようにメールで送ると記録が残ります。

求人では正社員の募集と拝見しておりましたが、労働条件通知書では入社から〇か月が契約社員となっていました。契約社員とする理由と、正社員になる基準・時期、正社員にならなかった場合の扱いについて、書面で教えていただけますでしょうか。

試用期間の雇用契約書・労働条件通知書の見方と、もらえない時の対処について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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不安な時に入社前に確認すること(チェックリスト)

試用期間だけ契約社員の求人で不安を減らすには、次の項目を入社前に確かめ、答えを書面かメールで残します。

  • 契約期間(いつからいつまで)と、更新の有無・更新の上限
  • 正社員になる基準(評価する項目・評価する人・評価の時期)
  • 正社員になった人の実績(最近、同じ形で入った人のうち何人が正社員になったか)
  • 正社員になったあとの給与・賞与と、あらためて試用期間を置くか
  • 正社員にならなかった時の扱い(契約更新か、終了か)
  • 契約社員の期間と正社員になったあとで、仕事の内容や勤務地が変わるか
  • 正社員登用の制度が就業規則や規程に書かれているか

会社には、パートや有期の人が正社員になれるよう、正社員の募集内容を知らせる・配置の希望を申し出る機会を与える・転換の試験制度を設けるなどのいずれかの措置をとる義務があります(パートタイム・有期雇用労働法13条)。登用の制度を聞くのは失礼な質問ではありません。

試用期間でクビになる確率と、本採用される人が多い理由について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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入社後に「正社員にはなれない」と言われたら

契約期間の終わりが近づいたら、続けたい人は、満了日までに「更新・正社員登用を希望します」と会社に伝えておきます。更新を期待する合理的な理由がある時は、理由のない雇止めは認められず(労働契約法19条)、この希望の伝え方に決まった形式はありません。

正社員になれないと言われたら、次のことをします。

  • 理由を具体的に、書面で出してもらう
  • 面接や面談で「正社員になれる」と言われた日時・相手・内容をメモにまとめる
  • 自分の契約が、適性を見る目的の期間だったか(神戸弘陵学園事件)、登用の条件が規程で明確だったか(福原学園事件)を書面で確かめる
  • 労働局や労働基準監督署の中にある総合労働相談コーナー(予約不要・無料)に相談する

本採用の見送りと言われた時の理由の確かめ方と対処について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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合わないと思った時の辞め方と、次の仕事の段取り

入社前なら、内定の辞退は基本的に問題ないとされています。ただし、あまりに信義に反するような辞退では損害賠償を求められる可能性もあるとされているので(厚生労働省Q&A)、決めたらすぐに連絡します。

入社後は、契約期間の途中か満了の時かで辞め方が変わります。途中なら原則として会社の合意かやむを得ない事由が要り、満了の時なら更新や登用を断れば終わります。合わないと感じた時は、満了まで続けて次の仕事を探すのか、合意退職を申し出るのかを、契約期間の残りから決めます。

試用期間で辞めるか続けるかの判断について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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短い期間で辞めた時の履歴書の書き方

契約社員の期間だけで辞めた場合も、雇われて働いた以上は職歴です。履歴書には「契約社員として入社」「契約期間満了により退職」のように、雇用形態と辞めた事情を事実どおりに書くと、面接で説明しやすくなります。

試用期間で辞めた職歴を履歴書に書くかどうかと、書き方の例について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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よくある質問

試用期間中は契約社員扱いですか?

正社員として採用された場合は違います。試用期間は期間の定めのない契約の最初の一部なので、試用期間中も正社員です。契約社員になるのは、労働条件通知書の契約期間に「期間の定めあり」と書かれ、期間を決めた契約を結んでいる場合です。

試用期間として契約社員の期間が6ヶ月や1年あるのは、長すぎますか?

長さを決めた法律はありません。ただ、適性の判断に必要な合理的な期間を超える長い試用期間は、公序良俗に反してその限りで無効とした裁判例があります(ブラザー工業事件)。期間が長い時は、なぜその長さが必要なのかを入社前に聞いておきます。

試用期間でクビになる人の特徴はありますか?

厚生労働省「確かめよう労働条件」は、解雇の理由を、能力不足・成績不良・勤務態度不良・適格性欠如、職場規律違反などに分けて裁判例を紹介しています。ただし、これらに当たれば必ず解雇が認められるわけではなく、客観的に合理的な理由と、社会通念上の相当性があるかが判断されます(労働契約法16条)。

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