試用期間中の解雇は違法?会社が解雇できる理由・できない理由

試用期間ナビ編集部運営:ランドマーク出版
試用期間中に働いている人のために、労働基準法・労働契約法の条文と厚生労働省の資料を確かめて記事を書いています。個別の判断が必要なときは、労働局の総合労働相談コーナーや弁護士への相談をおすすめしています。
試用期間中の解雇は、それだけで違法になるわけではありません。ただし、試用期間中でも労働契約はすでに始まっているので、会社が自由にクビにできるわけでもありません。解雇が有効になるのは、客観的に合理的な理由があり、社会通念上も相当といえる場合だけです(労働契約法16条・三菱樹脂事件)。
さらに、入社から14日を超えて働いている人を解雇する時は、試用期間中でも30日前の予告か、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)が必要です(労働基準法20条・21条)。この記事では、会社が解雇できる理由・できない理由を条文と裁判例で整理し、解雇を告げられた時に今日やることまで説明します。
この記事の要点
- 試用期間中の解雇は、本採用後の解雇より広い範囲で認められる。それでも、合理的な理由と相当性がなければ無効になる
- 入社から14日以内なら予告や予告手当は要らない。ただし、理由が要らなくなるわけではない
- 能力不足は、平均に届かないだけでは足りない。指導しても改善の見込みがないかが問われる
- 解雇を告げられたら、その場で退職届に署名せず、解雇の理由を書いた証明書を請求する(労働基準法22条)
試用期間中の解雇は違法?結論は「理由と手続きしだい」
試用期間中も労働契約は成立している
試用期間は「お試しの雇用」ではありません。最高裁は、試用期間付きの契約を、会社が解約する権利を残したうえで成立している労働契約(解約権留保付きの労働契約)と位置づけています(三菱樹脂事件・最高裁昭和48年12月12日大法廷判決)。
この判決によると、解約の権利を残すのは、採用の時点では適格性を判断する材料を十分に集められないため、最終的な判断を後に回すという趣旨です。そのため、会社がこの権利を使えるのは、その趣旨に照らして合理的な理由があり、社会通念上も相当と認められる場合に限られます。三菱樹脂事件は、3か月の試用期間が終わる直前に本採用を拒否された人が争った事件です。
本採用後より「広い範囲」で認められるが、自由ではない
神戸弘陵学園事件(最高裁平成2年6月5日第三小法廷判決)も、試用期間中の解約は通常の解雇より広い範囲で認められるとしています。そのうえで、試用期間の満了で契約が終わるのは、本採用の拒否が許される場合でなければならない、とも述べています。
つまり、「試用期間中だから」という理由だけでは解雇できません。正社員として採用されて試用期間中の人も、契約社員・パート・アルバイトとして試用期間中の人も、この点は同じです。
よく聞く話と、条文・裁判例での扱い
質問サイト(知恵袋など)の回答には、試用期間中の解雇について条文と合わない説明も見かけます。解雇の場面でよく聞く話を、条文・公的資料と並べました。
| よく聞く話 | 条文・裁判例での扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 試用期間はお互いのお試しなので、会社はいつでも契約を切れる | 契約は入社した時点で成立している。理由と相当性がなければ解雇は無効 | 三菱樹脂事件・労働契約法16条 |
| 本採用しないのは「不採用」で、解雇ではない | 本採用拒否は、残しておいた解約権を使うこと。理由が要る点は解雇と同じ | 神戸弘陵学園事件 |
| 入社して2週間以内なら、理由を言わずに辞めさせてよい | 14日以内で省けるのは、予告と予告手当だけ | 労働基準法21条・労働契約法16条 |
| 解雇予告手当を払えば、解雇は有効になる | 予告手当は手続きの決まりで、理由の代わりにはならない | 労働基準法20条・労働契約法16条 |
| 能力不足なら、試用期間中はすぐ解雇できる | 平均的な水準に届かないだけでは足りないとした裁判例がある | セガ・エンタープライゼス事件 |
| 「辞めてほしい」と言われたら従うしかない | 退職のすすめ(退職勧奨)は、自分の意思で断れる | 下関商業高校事件 |
| 解雇の理由は教えてもらえない | 請求すれば、会社は理由を書いた証明書を遅滞なく渡さなければならない | 労働基準法22条 |
試用期間の途中での解雇と、満了時の本採用見送りの違い
会社が試用期間中の社員を辞めさせる時の解雇の形は、大きく2つあります。どちらも法律上は解雇として扱われ、次の章の理由と、予告や証明書の手続きのルールが当てはまります。
| 形 | 時期 | 考え方 |
|---|---|---|
| 途中解雇 | 例:3ヶ月の試用期間の1か月目 | 見極めの期間を残したまま結論を出すので、まだ指導や改善の余地がなかったかが問われやすい |
| 本採用見送り(本採用拒否) | 試用期間の終わり | 試用期間を通して見た結果で判断する。これも解約権を使うことなので、理由が要る |
試用期間の途中での解雇は、会社が見極めの期間を最後まで使わずに判断することになるため、一般に、満了時の本採用見送りよりも慎重に判断されると解されています。試用期間内の解雇も、試用期間の終わりに告げられる本採用見送りも、「試用期間だから」で済まされるものではありません。
本採用見送りの理由の例や、見送りを告げられた後の対処について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
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会社が試用期間中に解雇できる理由(正当な理由と認められやすいもの)
厚生労働省の裁判例のページでは、普通解雇の「客観的に合理的な理由」をおおむね5つに分類しています。そのうち試用期間中に問題になりやすい4つを並べると、次のとおりです。試用期間中の解雇でも、まずこのどれかに当たるかが問われます。
| 理由の分類 | 試用期間中に問題になりやすい例 |
|---|---|
| 労務を提供できない | 病気やけがで、仕事に就けない状態が続く |
| 能力不足・成績不良・勤務態度不良・適格性の欠如 | 指導しても仕事の水準が上がらない。注意しても遅刻や欠勤を繰り返す |
| 職場の規律違反・職務の怠慢 | 会社のお金の使い込み、重大な規律違反 |
| 経営上の必要性 | 部門の閉鎖など、会社側の事情による人員削減 |
試用期間ならではの基準もあります。厚生労働省(中央労働委員会)が公開しているあっせん事例の解説は、試用期間中の解約が相当と認められる場合を次のように整理しています。採用の時には知ることができなかった事実が試用期間中に分かり、そのまま雇い続けるのが適当でないと判断することに、客観的な合理性がある場合です。厚生労働省のモデル就業規則も、解雇の事由の1つに「試用期間における作業能率又は勤務態度が著しく不良で、労働者として不適格であると認められたとき」を挙げています。
会社が試用期間中に解雇する条件として、自分の会社の就業規則にどんな解雇の事由が書かれているかも確認しておきます。常時10人以上を雇う会社は就業規則を作らなければならず、解雇の事由はそこに必ず書く事項です(労働基準法89条3号)。
能力不足を理由にする場合
セガ・エンタープライゼス事件(東京地裁平成11年10月15日決定)は試用期間の事件ではありませんが、能力不足による解雇について、平均的な水準に達していないだけでは足りず、著しく能率が劣り、しかも向上の見込みがない時でなければならないとしました。人事考課が下位でも相対評価にすぎないこと、会社には体系的な教育や指導で能率を上げる余地があったことも指摘しています。
試用期間は、仕事を覚えている最中の期間です。新卒や未経験で採用された人に、入社直後から経験者と同じ水準を求めて解雇するのは、理由として弱くなりやすいと考えられます。一方、高い待遇で中途採用された管理職でも、本採用拒否の判断には新卒と同じ基準が使われ、部長として不適格とまでは認められないとして解雇が無効とされた例があります(オープンタイドジャパン事件・東京地裁平成14年8月9日判決。前述のあっせん事例の解説による)。
能力不足を理由に解雇を告げられた時の確認点について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
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勤務態度・遅刻や欠勤
遅刻・欠勤・指示に従わないといった勤務態度の問題は、注意や指導を受けても改めなかったかがポイントになります。前述のあっせん事例の解説では、周囲とのもめごとが絶えなかったことなどが就業規則の解雇事由に当たるとして解雇が有効とされた例(雅叙園観光事件)が紹介されています。一方で、会長に声を出してあいさつしなかったことを理由とする解雇は、社会通念上の相当性を欠くとして無効とされた例(テーダブルジェー事件)も挙がっています。
経歴詐称・重大な規律違反
採用の判断に大きく関わる経歴を偽っていた場合や、会社の中での窃盗・横領など刑法犯に当たる行為があった場合は、解雇の理由として認められやすくなります。労働基準監督署が、予告なしの解雇を認めるかどうか(解雇予告除外認定)を判断する基準にも、これらが例として挙がっています(厚生労働省Q&A)。
病気やけがで働けない場合
私生活での病気やけがで、仕事ができない状態が続く場合は、労務を提供できない場合に当たりうるとされています。ただし、仕事が原因のけがや病気の療養で休んでいる期間とその後30日間は、解雇そのものが禁止されています(労働基準法19条)。
会社の経営悪化(整理解雇)
会社側の事情による人員削減は、働く人に落ち度がない解雇です。厚生労働省の裁判例のページで紹介されている東洋酸素事件(東京高裁昭和54年10月29日判決)は、部門を閉じることが経営上やむを得ないこと、ほかの部門に移す余地がないこと、対象者の選び方が客観的・合理的であることを求めています。
不当解雇になりやすいケースと、法律で禁止されている解雇
指導や改善の機会がないまま解雇された
能力や態度を理由にする場合でも、会社が具体的に指導し、改善の機会を与えたかが問われます。
試用期間の解雇の事例として、厚生労働省(中央労働委員会)が公開しているあっせん事例があります(労働委員会が実際に扱った事件を参考に作った事例で、設定は架空です)。正社員として採用された人が、3か月の試用期間の途中で、顧客からの苦情を理由に態度を改めるよう指導を受けました。その12日後に本社に呼ばれ、その日付で解雇されています。
解雇予告手当は支払われましたが、本人は理由の説明が足りない、解雇理由証明書を何度求めても出ないとして、あっせんを申請しました。会社は手続きの一部の不備と指導の不足を認め、後日あらためて雇用契約を結ぶ形で復職して解決しています。
法律で解雇が禁止されている場合
次の理由による解雇は、試用期間中でも法律で禁止されています(厚生労働省モデル就業規則の解説と各法律の条文)。
| 禁止されている解雇 | 根拠 |
|---|---|
| 国籍・信条・社会的身分を理由とする解雇 | 労働基準法3条 |
| 性別を理由とする解雇 | 男女雇用機会均等法6条 |
| 仕事が原因のけがや病気の療養で休む期間と、その後30日間の解雇/産前産後の休業期間と、その後30日間の解雇 | 労働基準法19条 |
| 労働基準監督署などに法律違反を申告したことを理由とする解雇 | 労働基準法104条2項 |
| 結婚・妊娠・出産、産休の取得などを理由とする解雇。妊娠中と出産後1年以内の解雇は、会社が妊娠などを理由としないことを証明しない限り無効 | 男女雇用機会均等法9条 |
| 育児休業などの申出や取得を理由とする解雇 | 育児・介護休業法10条など |
| 労働組合への加入や、正当な組合活動を理由とする解雇 | 労働組合法7条 |
| 労働局に紛争解決の援助やあっせんを求めたことを理由とする解雇 | 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律4条3項・5条2項 |
契約社員(有期契約)の場合は、さらに厳しい
契約期間が決まっている契約社員などは、やむを得ない事由がなければ、契約期間の途中で解雇できません(労働契約法17条1項)。モデル就業規則の解説も、有期契約の途中での解雇は、期間の定めのない契約の解雇より無効と判断される可能性が高いと考えられる、としています。
契約社員の試用期間で、クビや更新しないと言われた時の扱いについて詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
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解雇の手続き|14日のルール・解雇予告・解雇理由の証明書
入社から14日を超えたら、予告か予告手当が必要
| 入社からの日数・状況 | 会社がしなければならないこと |
|---|---|
| 14日以内 | 予告・予告手当は要らない(労働基準法21条)。ただし解雇の理由は必要 |
| 15日目以降 | 30日以上前の予告か、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)。予告が30日に足りない日数は手当で補う(20条) |
| 横領や2週間以上の無断欠勤など、本人に重大な責任がある場合 | 労働基準監督署長の認定(解雇予告除外認定)を受けた時だけ、予告も手当もなしで即時解雇できる |
予告も手当もないまま即日で辞めさせられた時は、労働基準監督署に相談できます。
14日の数え方や、予告手当の計算方法について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
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解雇の伝え方に決まった形式はない。書面でもらう
解雇予告を定めた労働基準法20条には、予告を書面でしなければならないという決まりはありません。会社の解雇の伝え方は、口頭のこともあれば、解雇通知書を渡されることもあります。
口頭だけだと、解雇の日や理由が後で争いになります。解雇を予告された人は、退職の日までの間に、解雇の理由を書いた証明書を請求でき、会社は遅滞なく渡さなければなりません(労働基準法22条2項)。予告なしに即日解雇された場合も、退職の事由(解雇の理由を含む)について証明書を請求できます(同条1項)。厚生労働省のQ&Aでは、就業規則の条項に当たることを理由にする時は、その条項の内容と、当てはまるとした事実関係まで書く必要があるとされています。
懲戒解雇と言われた場合
懲戒解雇は、会社の秩序を乱したことへの罰として行われる解雇です。罰(制裁)の定めをする場合は、その種類と程度を就業規則に書くことになっていて(労働基準法89条9号)、懲戒解雇にはそれに当たる事実が必要です。予告手当を払わずに即日で懲戒解雇するには、事前に労働基準監督署長の除外認定を受ける必要があります(モデル就業規則の解説)。懲戒解雇の理由によっては、失業保険で給付制限がかかることもあります。
解雇を告げられた時のチェックリストと、その場でやること
試用期間中に解雇された、辞めさせられたという時に、確認することを順番に並べました。
- 「解雇」か「退職のすすめ」かを確かめる:「〇日付で解雇する」なら解雇、「辞めてもらえないか」なら退職勧奨です。退職勧奨は断れます
- 退職届や合意書に、その場で署名しない:自分から辞めた形になると、解雇として争うのが難しくなります。持ち帰って考えると伝えて構いません
- 解雇の日と理由を書面でもらう:解雇理由証明書を請求します(下の例文)
- 入社日から何日目かを数える:土日・祝日も含めて14日を超えていれば、予告か予告手当が必要です
- 就業規則と雇用契約書を読む:試用期間の条文、解雇の事由、懲戒の事由、延長の定め
- 記録を残す:指導を受けた日時と内容、注意されたこと、メールやチャット、評価面談のメモ
- 最後の給料と予告手当を確認する:会社は働いた分の給料を全額支払わなければなりません(労働基準法24条)。退職後に請求すれば、7日以内に支払う決まりです(23条)
- 離職票を頼む:失業保険の手続きに使います
解雇理由証明書を請求する時の例文
【メール例文】 人事部 〇〇様 〇月〇日に、〇月〇日付で解雇とのお話をいただいた〇〇です。 労働基準法第22条に基づき、解雇の理由を記載した証明書の交付をお願いいたします。 就業規則の条項に該当することが理由の場合は、その条項と、該当すると判断された具体的な事実もご記載ください。 お手数ですが、書面またはPDFでお送りくださいますようお願いいたします。
状況別|あなたの状況とまずやること
| あなたの状況 | まずやること |
|---|---|
| 入社14日以内に「明日から来なくていい」と言われた | 理由を書面で求める。働いた日の給料が支払われるか確認する |
| 15日目以降に即日解雇された | 30日分以上の平均賃金が支払われるか確認する。払われなければ労働基準監督署に相談する |
| 試用期間の終わりに本採用しないと言われた | 30日前の予告があったかを確認し、理由の証明書を請求する |
| 「自分から辞めてほしい」と言われた | 退職勧奨なので断れる。辞めるなら、退職日と離職理由を確認してから決める |
| 能力不足と言われた | どんな指導を受けたか、改善の期間があったかを書き出す |
| 試用期間の延長と言われた | 就業規則や契約書に延長の定めがあるか、延長の理由と期間を確認する |
解雇された後の失業保険と、離職理由が会社都合になるか自己都合になるかについて詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
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不当解雇だと思ったら|相談先と解決までの流れ
解雇に納得できない時は、ひとりで会社と交渉する前に、無料の公的な窓口に相談できます。
| 相談先 | できること | 費用 |
|---|---|---|
| 総合労働相談コーナー(都道府県労働局や全国の労働基準監督署内など378か所) | 解雇を含む労働問題の相談。予約は要らない。法律違反の疑いがあれば、担当部署に取り次ぐ | 無料 |
| 労働基準監督署 | 解雇予告手当や給料の未払いなど、労働基準法違反の申告 | 無料 |
| 労働条件相談ほっとライン(0120-811-610) | 平日17時〜22時、土日・祝日9時〜21時の電話相談(年末年始を除く)。匿名でも相談できる | 無料 |
| 都道府県労働局長の助言・指導、紛争調整委員会のあっせん | 労働問題の専門家が間に入り、会社との話し合いを進める。手続きは非公開 | 無料 |
| 労働審判(地方裁判所) | 裁判官1名と労働審判員2名が、原則3回以内の期日で審理し、調停か審判で解決を図る | 申立ての手数料など |
| 弁護士(法テラスや弁護士会の法律相談センターで、相談や紹介を受けられる) | 代理人として、会社との交渉や労働審判・裁判の手続きを任せられる | 相談先による |
| 労働組合 | 加入した組合を通じて会社と団体交渉ができる。会社は正当な理由なく団体交渉を拒めない(労働組合法7条2号) | 組合による |
あっせんは、会社が参加しなければ打ち切りになり、ほかの解決機関の案内に移ります。労働審判は、話し合いがまとまらなければ審判が出され、2週間以内に異議が出ると訴訟に移ります(裁判所)。労働局に助言・指導やあっせんを求めたことを理由に、会社が解雇などの不利益な扱いをすることは法律で禁止されています。
解雇が無効と判断された場合
解雇が無効と判断されると、労働契約はそのまま続いていたことになります。一般に、会社の責任で働けなかった期間の賃金は請求できると解されています(民法536条2項)。三菱樹脂事件では、最高裁が審理を高裁に差し戻した後に和解が成立し、本採用を拒否された人は職場に復帰しました。
ただし、話し合いでの解決は復職だけとは限りません。前述のあっせん事例でも、途中で金銭の支払いによる解決が提案されています。復職したいのか、金銭で区切りをつけたいのかを、相談の前に考えておくと話が進めやすくなります。
解雇の前によくあること|延長・退職勧奨・面談
試用期間の延長を打診された
本採用か解雇かの判断を先送りするために、試用期間の延長を打診されることがあります。就業規則や雇用契約書に延長の定めがあるか、延長の理由と期間、延長中に何を改善すればよいかを確認します。
試用期間の延長が認められる条件や、延長の通知書で確認することについて詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
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試用期間の延長はできる?同意・通知書・理由のルールと期間の上限試用期間の延長は、労働基準法や労働契約法に直接の決まりがなく、就業規則の定め・本人の同意・理由と期間が問題になります。延…
退職を勧められた
退職勧奨は、会社が自分から辞めるよう説得することで、勧められた人は理由を問わず断れます。下関商業高校事件の最高裁判決は、何度も長い期間にわたる執拗な勧奨を、許される限界を越えた違法なものとしました。断る時は「辞めるつもりはありません」とはっきり伝え、勧奨を受けた日時と内容を記録しておきます。
注意や面談が増えてきた
面談で改善点を指摘されることが増えたら、何をいつまでにどの水準でできればよいかを具体的に聞き、メモに残します。後で能力不足を理由にされた時、会社がどんな指導をしたかを示す材料になります。
よくある質問
試用期間中に「明日から来なくていい」と言われたらどうすればいい?
入社から14日を超えていれば、会社は30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う必要があります。14日以内でも解雇の理由は必要なので、理由を書面で求め、働いた分の給料を確認します。自分から辞めるつもりがなければ、退職届を出す必要はありません。
公務員の試用期間(条件付採用)にも同じルールが当てはまる?
公務員には労働契約法が適用されません(労働契約法21条1項)。公務員の採用は原則として条件付きで、6か月の勤務を良好な成績で終えると正式採用になります(国家公務員法59条1項・地方公務員法22条)。民間とは扱いが違うので、所属先の人事担当に確認してください。
メンタル不調や体調不良で休んだら、解雇される?
仕事が原因の病気で療養のために休んでいる期間とその後30日間は、解雇できません(労働基準法19条)。私生活での病気の場合は、休職制度が試用期間中の人にも当てはまるか、どのくらい働けない状態が続くかで扱いが変わります。就業規則の休職の決まりを確認し、医師の診断書をもらって会社と相談します。
試用期間中に解雇されたら、弁護士に頼むべき?
まずは無料の総合労働相談コーナーで、解雇の理由が争えるものかを相談できます。会社と直接話すのが難しい、復職や金銭の支払いを求めて交渉したい、労働審判を考えているという段階なら、弁護士への相談を検討します。法テラス(日本司法支援センター)や各弁護士会の法律相談センターでも、法律相談や弁護士の紹介を受けられます。
- 労働契約法(e-Gov法令検索)第16条・第17条・第21条
- 労働基準法(e-Gov法令検索)第3条・第19条・第20条・第21条・第22条・第23条・第24条・第89条・第104条
- 民法(e-Gov法令検索)第536条
- 男女雇用機会均等法(e-Gov法令検索)第6条・第9条
- 育児・介護休業法(e-Gov法令検索)第10条
- 労働組合法(e-Gov法令検索)第7条
- 個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(e-Gov法令検索)第4条・第5条
- 国家公務員法(e-Gov法令検索)第59条
- 地方公務員法(e-Gov法令検索)第22条
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」裁判例 試用期間(神戸弘陵学園事件ほか)
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」裁判例 採用の自由(三菱樹脂事件)
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」裁判例 解雇(セガ・エンタープライゼス事件ほか)
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」裁判例 退職勧奨(下関商業高校事件)
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A 即時解雇OK?解雇予告や予告手当の不要な場合はありますか?
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A 会社から解雇予告を受けました。解雇理由の証明書を請求できますか?
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A 会社との労働トラブルの相談先は?
- 厚生労働省(中央労働委員会)個別労働紛争のあっせん事例[9]試用期間中の解雇
- 厚生労働省「モデル就業規則」(令和7年12月版)第6条・第53条と解説
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
- 厚生労働省「個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん)」
- 厚生労働省 労働条件相談「ほっとライン」
- 裁判所「労働審判手続」
