アルバイトの試用期間とは?時給・長さ・アルバイト扱いの意味

試用期間ナビ編集部運営:ランドマーク出版
試用期間中に働いている人のために、労働基準法・労働契約法の条文と厚生労働省の資料を確かめて記事を書いています。個別の判断が必要なときは、労働局の総合労働相談コーナーや弁護士への相談をおすすめしています。
アルバイトの試用期間は、採用したあとに実際に働いてもらい、仕事への向き不向きや勤務態度を会社が確かめる期間です。試用期間中もすでに雇われているので、時給は最低賃金以上で、入社から14日を超えたら解雇には30日前の予告か予告手当が必要になるなど、法律のルールは本採用のあとと同じように当てはまります。
「試用期間中はアルバイト扱い」と言われた場合も、扱いを決めるのは呼び名ではなく、労働条件通知書に書かれた契約期間・時給・保険の中身です。この記事では、時給・長さ・試用期間なしのバイト・アルバイト扱いの意味を表で整理し、入社前に確認することまで説明します。
この記事の要点
- アルバイトにも試用期間を設けることができる。設けるかどうかと長さは会社が決め、求人と労働条件通知書に書かれる
- 試用期間中の時給を低く決めることはできるが、最低賃金を下回るには都道府県労働局長の許可が要る
- 入社から14日以内は解雇予告がいらないだけで、理由のない解雇が許されるわけではない
- 「アルバイト扱い」は呼び名にすぎない。契約期間・時給・保険が実際にどうなっているかを書面で確かめる
アルバイト(バイト)の試用期間とは?採用後に適性を見る期間
バイトの試用期間とは、採用後の一定期間、実際に仕事をしてもらいながら、このまま働き続けてもらうかを会社が判断する期間です。面接では分からない仕事ぶりや勤務態度を見て、問題がなければ本採用(試用期間が終わったあとの通常の雇用)に移ります。
最高裁の三菱樹脂事件(昭和48年12月12日)は、試用期間付きの契約を、会社が適格性を見たうえで最終的に決める権利(解約権)を残した契約と整理しました。ただし、この権利を使えるのは、客観的に合理的な理由があって社会通念上も相当といえる場合に限られます(厚生労働省「確かめよう労働条件」裁判例)。
アルバイトでも考え方は同じです。労働基準法は、働き方を問わず労働者として働く人に原則として当てはまります(厚生労働省Q&A)。「パート」と「アルバイト」の違いも呼び方だけで、正社員より週の所定労働時間が短い人は、呼び名に関係なくパートタイム・有期雇用労働法の対象です。
| 項目 | 試用期間中のアルバイトの扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 時給 | 最低賃金以上。下回るには都道府県労働局長の許可が必要 | 最低賃金法4条・7条 |
| 研修・説明会 | 参加が義務づけられていれば労働時間で、給料の対象 | 厚生労働省ガイドライン |
| 解雇 | 理由が要る。14日を超えて働いたあとは30日前の予告か予告手当 | 労働契約法16条、労働基準法20条・21条 |
| 辞める | 契約期間の定めがなければ、申し出から2週間で終わる | 民法627条 |
| 社会保険・雇用保険 | 加入条件に当たれば試用期間中から加入 | 健康保険法3条、雇用保険法6条 |
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試用期間と研修期間の違い
バイトの求人では「試用期間」と「研修期間」の両方の言葉が使われます。違いは目的です。
| 比べる点 | 試用期間 | 研修期間 |
|---|---|---|
| 目的 | 働き続けてもらえるかを見極める | 仕事のやり方を覚えてもらう |
| 法律上の位置づけ | 裁判例で、解約権が残された期間と整理されている | 法律で決まった意味はなく、会社ごとの呼び名 |
| 終わったあと | 本採用に移る。本採用しない時は理由が要る | 通常の仕事に移る |
「研修期間3か月」と書かれていても、その間に適性を見て採用を続けるか決めるなら、中身は試用期間と同じです。言葉よりも「その期間の時給」と「終わったあとにどうなるか」を確かめます。
研修は1日何時間?時間と給料の決まり
研修の時間を決めた法律の規定はありません。ただし、参加が業務上義務づけられている研修や、会社の指示で行う業務に必要な学習の時間は、厚生労働省のガイドラインで労働時間に当たるとされています。研修だけの日も給料が出るのが原則です。
研修の日も、休憩を除いて1日8時間・週40時間(原則)を超える分は時間外労働で、割増賃金の対象です(労働基準法32条・37条)。1日6時間を超える時は45分以上、8時間を超える時は1時間以上の休憩が要ります(同34条)。
バイトの試用期間はどれくらい?3ヶ月と書かれていたら
アルバイトの試用期間の長さを決めた法律はありません。会社が就業規則や求人、労働条件通知書で決めます。求人に「試用期間3ヶ月」とあり、4月1日に働き始めたなら、試用期間は6月30日までです(月で決めた期間は暦に従って数えます。民法143条)。
- 長すぎる試用期間は無効になりうる:適性の判断に必要な合理的な期間を超える長い試用期間は、公序良俗に反してその限りで無効と判断した裁判例があります(ブラザー工業事件・名古屋地裁 昭和59年3月23日)
- 14日を超えると解雇予告のルールが当てはまる:試用期間中の人も、14日を超えて働いたあとは30日前の予告か予告手当が必要です(労働基準法21条)。日数は土日祝を含む暦の日数で数えるのが一般的で、4月1日に働き始めた人なら4月15日が15日目です
何の説明もなく「もう少し様子を見る」と長引かせられた時は、延長の根拠(就業規則や契約の定め)と終わる日を書面で確認します。
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試用期間中の時給は下がる?最低賃金との関係
バイトの求人には「試用期間中は時給1,300円、終了後1,350円」のように、試用期間中だけ時給を低く書いているものがあります。求人と契約で示され、最低賃金以上であれば、こうした決め方自体は禁止されていません。最低賃金より下げるには会社が都道府県労働局長の許可を受ける必要があり(最低賃金法7条2号)、許可なく下回る部分は無効で、最低賃金と同じ額を定めたものとみなされます(同4条2項)。
試用期間中と終わったあとで時給が違う時は、求人の段階でそれぞれを示すことになっています(職業安定法施行規則4条の2)。時給が切り替わる時期も、労働条件通知書と給与明細で確かめます。
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「試用期間中はアルバイト扱い」と言われた時の意味
正社員や契約社員の求人で、「試用期間中はアルバイト扱い(時給制)」と書かれていることがあります。正社員の試用期間をアルバイトとして過ごす場合、何が変わるかは契約の中身で決まります。
| 言われ方 | 契約の中身 | 確認すること |
|---|---|---|
| 正社員で採用するが、試用期間中は時給制なのでアルバイトと呼ぶ | 期間の定めのない契約の試用期間。呼び名が違うだけ | 労働条件通知書の契約期間が「期間の定めなし」か |
| 最初の数か月はアルバイトとして期間を決めて契約し、その後に正社員として契約し直す | 最初の契約は期間の定めのある契約。適性を見る目的なら試用期間と判断されることがある | 契約期間、更新の有無、正社員になる条件が書面にあるか |
| 試用期間の途中や終わりに、正社員でなくアルバイトで続けてほしいと言われた | 労働条件の変更。契約は合意で変えるのが原則(労働契約法3条1項・8条) | すぐに署名しない。理由と変更後の条件を書面でもらう |
2つめの形について、最高裁の神戸弘陵学園事件(平成2年6月5日)は、新しく採用した人の契約に期間を設けた目的が適性の評価・判断にある時は、期間満了で当然に終わるという明確な合意などの特段の事情がない限り、その期間は試用期間と解されるとしました。この場合、期間満了で辞めてもらうことは本採用の拒否にあたり、理由が問われます。
どの形でも、働いた分の時給・時間外の割増・保険の扱いが、アルバイトという呼び名で軽くなるわけではありません。日本年金機構も、試用期間中でも報酬が支払われる場合は使用関係が認められると説明しています。
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試用期間中の社会保険・雇用保険
試用期間であることは、社会保険や雇用保険に加入しない理由になりません。アルバイトでも、社会保険の適用事業所で週の所定労働時間と月の所定労働日数が正社員の4分の3以上なら、健康保険・厚生年金保険に最初から加入します(特定適用事業所などでは、4分の3未満でも週20時間以上で学生でなければ対象)。雇用保険は、31日以上の雇用見込みがあり週20時間以上なら加入です。給与明細で保険料が引かれているかを確かめます。
試用期間中に社会保険に入れてもらえない時の対処について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
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試用期間なしのバイトもある?ない時の違い
試用期間は、法律で必ず設けるよう決められたものではありません。試用期間なしのバイトもあり、設けるかどうかは会社が決めます。設ける時は求人で示す事項なので、書かれていなければ入社前に「試用期間はありますか」と聞いて確かめます。
| 比べる点 | 試用期間ありのバイト | 試用期間なしのバイト |
|---|---|---|
| 時給 | 試用期間中だけ低く決めることがある(最低賃金以上) | 最初から同じ時給 |
| 解雇 | 理由が要る。本採用後よりは広く認められることがある | 理由が要る(労働契約法16条) |
| 解雇予告 | 14日を超えて働いたあとから必要 | 原則として最初から必要 |
試用期間なしは、働く側が不利になるという意味ではありません。採用後に急に「最初の1か月は試用期間」と言われたら、求人・労働条件通知書と違う点を確認します。
試用期間が終わったら?本採用・更新されない時
アルバイトの試用期間が終了したら、問題がなければそのまま同じ職場で働き続けます。本採用の通知の出し方は法律で決まっておらず、通知書や面談がある会社もあれば、何もないまま続く会社もあります。時給が上がる約束なら、試用期間が終わった月の給与明細で反映されているか確認します。
正社員からアルバイトへの変更を打診された時
正社員として採用されたのに、試用期間の終わりに「アルバイトで続けてほしい」と言われることがあります。これは降格にあたる労働条件の変更で、労働契約は合意によって変えるのが原則のため、会社が一方的に決めることはできません(労働契約法3条1項・8条)。返事は急がず、理由と、アルバイトになった場合の時給・時間・期間・保険を書面で出してもらってから考えます。
「更新しない」「クビ」と言われた時
契約期間の定めがなければ解雇には客観的に合理的な理由が要り、期間の定めがあれば、期間の途中で辞めさせるには「やむを得ない事由」が要ります(労働契約法16条・17条)。期間満了で更新しない場合も、更新を重ねてきた時や更新を期待する合理的な理由がある時は、理由のない雇止めは認められません(同19条)。納得できない時は、労働局や労働基準監督署の中にある総合労働相談コーナー(予約不要・無料)に相談できます。
パートやアルバイトで更新しないと言われた時の対処について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
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試用期間中に辞めたい時の進め方
試用期間中でも辞めることはできます。契約期間の定めがなければ申し出から2週間で終わり(民法627条1項)、期間の定めがあれば、やむを得ない事由がある時(同628条)か、会社が合意した時に辞められます。示された条件と実際が違う時は、即時に契約を解除できます(労働基準法15条2項)。店長やシフトの責任者に、次のシフトが組まれる前に直接伝えると調整しやすくなります。
バイト・パートの試用期間で辞める時の言い方と即日退職について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
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アルバイトから正社員になる時の試用期間
同じ会社でアルバイトから正社員になる時、あらためて試用期間を置くかどうかは、就業規則と新しい契約の内容で決まります。正社員としての労働条件通知書で、試用期間の有無と長さ、試用期間中の給与を確かめます。
前に出たブラザー工業事件では、見習社員の期間で適性を判断できるのに、さらに長い試用期間を重ねる合理的な必要性はないとされました。長く働いて仕事ぶりを見てもらっている人は、長い試用期間を重ねる理由を聞いてもかまいません。
入社前・試用期間中に確認すること(チェックリスト)
求人と労働条件通知書を並べて、次の項目を確認します。書かれていない項目は、入社前か試用期間の早いうちに聞いておきます。
- 試用期間の有無と長さ(何月何日までか)
- 試用期間中と終わったあとの時給、切り替わる時期
- 研修の日の時給と時間
- 契約期間の定めがあるか。ある時は更新の有無と基準
- 試用期間中の呼び名(アルバイト・正社員など)と、終わったあとの雇用形態
- 週の所定労働時間と勤務日数(保険の加入条件に関わる)
- 社会保険・雇用保険に加入するか
- 辞める時に何日前までに申し出るか(就業規則)
聞きにくい時は、次のように一度にまとめて聞くと角が立ちません。
試用期間について確認させてください。期間は何か月で、試用期間中と終わったあとの時給はそれぞれいくらでしょうか。試用期間中の契約期間と、社会保険・雇用保険の加入についても教えていただけますか。
| 困っていること | 相談先 |
|---|---|
| 解雇・雇止め・労働条件の変更など全般 | 総合労働相談コーナー(労働局・労働基準監督署内) |
| 最低賃金を下回る、予告手当が払われない | 労働基準監督署 |
| ハローワークの求人票と条件が違う、雇用保険の加入が分からない | ハローワーク |
| 社会保険に入れてもらえない | 年金事務所 |
よくある質問
アルバイトの試用期間中に「明日から来なくていい」と言われたら?
会社が一方的に雇用を終わらせるなら解雇で、客観的に合理的な理由が要ります。入社から14日を超えていれば、30日分以上の平均賃金(予告手当)の対象です。自分から辞めるつもりがなければ退職届は出さず、解雇の理由を書いた証明書を請求します(労働基準法22条)。
試用期間中に体調不良で数日休んだら、クビになりますか?
休んだことだけで、すぐに解雇が認められるとは限りません。厚生労働省のQ&Aでは、予告なしの解雇が認められうる例として「2週間以上正当な理由がなく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合」などが挙げられており、連絡したうえでの体調不良による欠勤とは状況が違います。休む時は始業前に連絡し、通院したなら領収書や診断書を残しておきます。
バイトに試用期間がないのはなぜですか?
理由は会社によって違い、法律上の決まりもありません。考えられる理由の一つは、契約期間を1〜3か月などと短く決め、更新のたびに続けるかを決める形をとっている場合です。この場合も、更新を重ねていたり更新を期待させる説明があったりすれば、理由のない雇止めは認められません(労働契約法19条)。
- 労働基準法(e-Gov法令検索)第15条・第20条・第21条・第22条・第32条・第34条・第37条
- 労働契約法(e-Gov法令検索)第3条・第8条・第16条・第17条・第19条
- 民法(e-Gov法令検索)第143条・第627条・第628条
- 最低賃金法(e-Gov法令検索)第4条・第7条
- 職業安定法施行規則(e-Gov法令検索)第4条の2
- 健康保険法(e-Gov法令検索)第3条
- 雇用保険法(e-Gov法令検索)第6条
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」裁判例 試用期間(神戸弘陵学園事件・ブラザー工業事件)
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」裁判例 採用の自由(三菱樹脂事件)
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A 労基法は、働く人みんなに適用されるのですか。
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- 厚生労働省「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!」
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A 会社との労働トラブルの相談先は?相談窓口の種類など
