契約社員の試用期間はどうなる?長さと辞める時・クビになる時のルール

働き方別(正社員・バイト・パートなど)

契約社員の試用期間とは?長さと、辞める時・クビになる時のルール

更新日 2026-10-05

契約社員の試用期間とは?長さと、辞める時・クビになる時のルール(試用期間ナビの記事)
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試用期間中に働いている人のために、労働基準法・労働契約法の条文と厚生労働省の資料を確かめて記事を書いています。個別の判断が必要なときは、労働局の総合労働相談コーナーや弁護士への相談をおすすめしています。

契約社員の試用期間は、1年・6か月などと決めた契約期間の中で、仕事への適性を見る期間です。正社員の試用期間と違うのは、契約に期間の定めがある点です。会社が契約期間の途中で辞めさせるには「やむを得ない事由」という通常の解雇より厳しい理由が要り(労働契約法17条)、働く側も、期間の途中で辞めるには原則として会社の合意かやむを得ない事由が要ります。

この記事では、試用期間と契約社員の違い、3か月・半年(6ヶ月)などの長さ、試用期間中にクビや「更新しない」と言われた時、自分から退職したい時のルールを、時期ごとの早見表で整理します。

この記事の要点

  • 契約社員にも試用期間を置ける。長さは契約期間の中で会社が決め、求人で示す事項になっている
  • 契約期間の途中のクビは「やむを得ない事由」が要り、通常の解雇より狭く判断される(厚生労働省)
  • 契約期間の満了で更新しない時も、更新を期待させる事情があれば理由のない雇止めは認められない
  • 自分から辞める時は、期間の途中なら会社の合意かやむを得ない事由、満了時なら更新しないと伝えれば終わる

契約社員にも試用期間はある?試用期間と契約社員の違い

契約社員は法律で定義された言葉ではありません。この記事では、1年・6か月など契約期間を決めて雇われる人(有期雇用)を指します。

契約社員にも試用期間を置くことができます。試用期間を置く時は、求人の段階で「試みの使用期間に関する事項」を示すことになっています(職業安定法施行規則4条の2)。

「試用期間」と「契約社員」は、そもそも別の物差しの言葉です。

比べる点 試用期間 契約社員
何を表す言葉か 契約の中で、適性を見る期間 契約期間の定めがある雇われ方
誰に置けるか 正社員・契約社員・パート・アルバイトのどれにも置ける ―
終わり方 本採用に移る。本採用しない時は理由が要る 契約期間の満了で終わる。更新することもある
主なルール 裁判例(三菱樹脂事件など)、労働基準法21条 労働基準法14条、労働契約法17〜19条

つまり「契約社員の試用期間」は、期間の定めのある契約の中に、適性を見る期間が重なっている状態です。どちらのルールも当てはまるので、正社員の試用期間よりも確認することが増えます。

試用期間そのものの意味と本採用までの流れについて詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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契約社員の試用期間の長さ|3ヶ月・半年(6ヶ月)の場合

試用期間の長さを決めた法律はなく、会社が契約や就業規則で決めます。契約期間そのものは、原則3年が上限です(労働基準法14条。高度な専門知識を持つ人や60歳以上の人は5年)。

契約の形 試用期間の位置 気をつけること
1年契約・試用期間3か月 契約の最初の3か月 試用期間が終わっても、残り9か月は契約が続く
6か月契約・試用期間6か月(半年) 契約期間の全部が試用期間 満了で終わるのか、更新や本採用を前提にしているのかを書面で確認する
3か月契約を結び、問題なければ更新 最初の契約が試用の役割を兼ねる 更新の基準と、更新しない時の扱いを確認する

試用期間を契約社員として半年過ごす場合のように、契約期間の全部が適性を見る期間になっている時は、次の「更新しない」と言われた時の章で説明する裁判例が関わってきます。

試用期間は、雇用契約書や労働条件通知書、就業規則で確かめます。厚生労働省のモデル労働条件通知書には試用期間の専用の欄がないため、「その他」の欄や就業規則の該当する条で示されていることがあります。見当たらなければ、「試用期間は何月何日までですか」と人事に聞いて、メールで返事をもらっておきます。

また、試用期間中の人も、14日を超えて働いたあとは解雇に30日前の予告か予告手当が要ります(労働基準法21条)。ただし、2か月以内の期間を決めて雇われた人は、その期間を超えて働くまでは予告の決まりが当てはまりません。

試用期間の長さの相場と上限について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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契約社員は試用期間中でもクビにできる?期間の途中の解雇

契約社員の試用期間中にクビと言われた時、まず見るのは契約期間の途中かどうかです。労働契約法17条1項は、期間の定めのある契約について、やむを得ない事由がなければ、契約期間が終わるまで解雇できないと定めています。

厚生労働省の「労働契約法のあらまし」は、この「やむを得ない事由」について、次のように説明しています。

  • 契約期間は当事者が合意で決めたもので守られるべきものなので、通常の解雇が認められる場合よりも狭く判断される
  • 契約期間中でも一定の理由があれば解雇できると合意していても、その理由に当たるだけでやむを得ない事由があるとはされず、実際の解雇ごとに判断される
  • やむを得ない事由があることは、会社の側が主張し証明する

労働契約法17条には試用期間を除く定めはありません。試用期間の定めも「一定の理由があれば辞めてもらう」という合意の一つと考えられるため、試用期間中でも、契約期間の途中で辞めさせるにはやむを得ない事由が要ると考えられます。

言われた時期 会社に必要なこと
入社から14日以内で、契約期間の途中 やむを得ない事由。予告や予告手当は要らない(労働基準法21条)
14日を超えて、契約期間の途中 やむを得ない事由+30日前の予告か30日分以上の予告手当(同20条)
契約期間の満了で更新しない 雇止め。更新を期待する合理的な理由などがあれば、客観的に合理的な理由が要る(労働契約法19条)

クビと言われたら、自分から退職届は出さずに、解雇の理由を書いた証明書を請求します(労働基準法22条)。「試用期間なので」としか説明がない時は、どの事実が理由なのかを具体的に書いてもらいます。

試用期間中の解雇が認められる理由・認められない理由について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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契約期間の満了で「更新しない」と言われた時

契約期間が満了して更新しないこと(雇止め)は、本来は期間満了による契約の終了です。ただし、次のどちらかに当たり、働く人が更新を希望した時は、雇止めに客観的に合理的な理由が要り、理由がなければ前と同じ条件で更新されたものとみなされます(労働契約法19条)。

  • 更新を重ねていて、雇止めが正社員の解雇と同じように見られる場合
  • 更新されると期待することに合理的な理由がある場合

2つめは更新の回数を条件にしていないので、1回目の契約でも当たる可能性があります。厚生労働省の「あらまし」は、雇用の臨時性・常用性、更新の回数、通算の期間、契約期間の管理のしかた、雇用が続くと期待させる会社の言動などを総合して判断するとしています。面接で「更新が前提」「長く働いてほしい」と言われたなら、その時期と相手をメモしておきます。

さらに、契約期間が試用の役割をしていた場合は、最高裁の神戸弘陵学園事件(平成2年6月5日)が関わります。新しく採用した人の契約に期間を設けた目的が適性の評価・判断にある時は、期間満了で当然に終わるという明確な合意などの特段の事情がない限り、その期間は試用期間と解されるとした判決です。この場合、満了で終わらせることは本採用の拒否と同じで、理由が問われます。

確認すること 内容
更新の基準 労働条件通知書に、更新の有無と判断の基準(業務量・勤務成績など)が書かれているか
雇止めの予告 3回以上更新している、通算1年を超えて働いている、1年を超える契約の人は、あらかじめ更新しないと示されていた場合を除き、30日前までに予告が要る(厚生労働省の基準)
理由の証明書 予告の対象になる人は雇止めの理由の証明書を請求でき、理由は「契約期間の満了」とは別に示す必要がある
自分の意思 続けたいなら、満了日までに更新を希望すると伝える(形式は問われない)

本採用の見送り(本採用拒否)と言われた時の対処について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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契約社員が試用期間中に退職したい時

契約社員の試用期間中に辞めたいと思った時は、契約期間の途中か、満了の時かで手順が変わります。

辞める時期 ルール すること
契約期間の途中 会社が合意すれば辞められる。やむを得ない事由があれば直ちに解除できる(民法628条) 退職日を決めて合意退職を申し出る
示された条件と実際が違う 即時に契約を解除できる(労働基準法15条2項) 違う点を書き出して伝える
1年を超える契約で、初日から1年が過ぎた後 申し出ればいつでも退職できる(労働基準法附則137条。高度な専門知識を持つ人などを除く) 申し出た日付を残す
契約期間の満了時 更新しなければ契約は終わる 更新しない意思を早めに伝える

「試用期間満了で退職したい」時は、試用期間の終わりと契約期間の終わりが同じかどうかを確かめます。1年契約で試用期間3か月なら、試用期間の終わりはまだ契約の途中なので、合意退職を申し出る形になります。

辞めることを伝えて、会社の権限のある人が承諾すれば合意退職が成立します(厚生労働省「確かめよう労働条件」裁判例)。途中で辞めると損害賠償を請求されるか心配な人もいますが、厚生労働省のQ&Aは、1年がたつ前の退職でも当然に損害賠償を請求されるわけではなく、会社に損害が出たか、それが退職によるものかで判断されると説明しています。

契約期間の途中で申し訳ありませんが、一身上の都合により、〇月〇日付で退職させていただきたく、ご相談させてください。業務の引き継ぎは、〇日までに〇〇さんへ行います。

体調を崩して働き続けられない時は、医師の診断書をもらい、やむを得ない事由に当たりうる事情として会社に相談します。期間の定めがない正社員なら申し出から2週間で終わりますが(民法627条)、契約社員にはこのルールがそのまま当てはまらない点に注意します。

試用期間で辞める時の進め方と注意点について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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正社員の試用期間を契約社員として過ごす場合

「正社員前提で、最初の半年は契約社員」「試用期間中は契約社員扱い」のように、正社員の募集なのに試用期間だけ契約社員として雇う会社もあります。この場合、最初の契約は期間の定めのある契約ですが、適性を見る目的なら、神戸弘陵学園事件のとおり試用期間と判断されることがあります。入社前に、正社員になる条件と、なれなかった時の扱いを書面で確かめておきます。

試用期間だけ契約社員として働くリスクと、入社前の確認について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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試用期間後に契約社員と言われた時・契約社員から正社員になる時

試用期間後に「契約社員で」と打診された時

正社員として入社したのに、試用期間後に「契約社員としてなら続けられる」と言われることがあります。期間の定めのない契約から期間の定めのある契約に変えることは労働条件の変更で、労働契約は合意によって変えるのが原則です(労働契約法3条1項・8条)。その場で署名せず、理由と、契約社員になった場合の期間・賃金・更新の基準を書面でもらってから考えます。

契約社員から正社員になる時の試用期間

契約社員から正社員になる時に、あらためて試用期間を置くかどうかは就業規則と新しい契約で決まります。見習社員の期間で適性を判断できるのに、さらに試用期間を重ねる合理的な必要性はないとした裁判例(ブラザー工業事件・名古屋地裁 昭和59年3月23日)もあります。

これとは別に、同じ会社との有期契約が更新されて通算5年を超えた人は、申し込めば期間の定めのない契約に変わります(労働契約法18条)。会社はこの申込みを断れませんが、変わるのは契約期間で、ほかの労働条件は別の定めがない限り同じです(厚生労働省Q&A)。

契約社員の試用期間で確認すること(チェックリスト)

入社前と試用期間中に、雇用契約書・労働条件通知書・就業規則で次の項目を確かめます。

  • 契約期間の始まりと終わりの日
  • 試用期間の長さと、契約期間との関係(全部か、最初の一部か)
  • 更新の有無、更新の判断の基準、更新回数や通算期間の上限
  • 試用期間中と終わったあとで違う条件(賃金・仕事の内容など)
  • 正社員登用の制度があるか、ある時はその条件
  • 契約期間の途中で退職したい時の申し出の決まり

よくある思い込みと、条文・公式資料の内容を並べると次のとおりです。

よくある思い込み 条文・公式資料
試用期間中ならいつでもクビにできる 契約期間の途中はやむを得ない事由が必要で、通常の解雇より狭く判断される(労働契約法17条1項、厚生労働省)
契約社員は試用期間中でも辞められない 会社の合意かやむを得ない事由で辞められる(民法628条)。条件が違えば即時に解除できる(労働基準法15条2項)
途中で辞めたら必ず損害賠償になる 損害が出たか、退職が原因かで判断され、当然に請求されるわけではない(厚生労働省Q&A)
1回目の契約なら、更新しない理由はいらない 更新を期待する合理的な理由があれば、理由のない雇止めは認められない(労働契約法19条)
5年たてば自動的に正社員になる 更新して通算5年を超えた人が申し込めば期間の定めのない契約になる(労働契約法18条)。正社員になるとは限らない

納得できない時は、労働局や労働基準監督署の中にある総合労働相談コーナーで相談できます。予約は不要で、無料です。

試用期間の雇用契約書・労働条件通知書の見方と、もらえない時の対処について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

あわせて読みたい試用期間雇用契約書・労働条件通知書の記載例と、もらえない時の対処試用期間雇用契約書や労働条件通知書は、試用期間中でも入社時にもらうものです。試用期間の長さ・賃金・延長・契約期間の記載例…

よくある質問

契約社員の試用期間が延長されることはありますか?

一般に、就業規則や契約に延長の定めがあり、延長する合理的な理由がある場合に限られると考えられています。試用期間は契約期間の中に置かれるものなので、契約期間を超えて延ばすなら契約の更新が前提です。延長と言われたら、更新とセットなのか、更新後の契約期間と試用期間がいつまでかを書面で確かめます。

契約期間の満了で辞める時、何日前に伝えればいいですか?

満了で辞める時の予告期間を決めた法律の規定はありません。ただ、会社は更新の準備をするので、就業規則に決まりがあればそれに従い、なければ満了の1か月前をめどに「更新を希望しません」と伝えると行き違いが起きにくくなります。

契約社員の試用期間中は、正社員より簡単にクビになりますか?

契約期間の途中に限っていえば、むしろ逆です。期間の定めのない正社員の解雇には客観的に合理的な理由が要りますが(労働契約法16条)、契約社員を契約期間の途中で解雇するには、それより認められる場合が狭い「やむを得ない事由」が要ります。注意したいのは契約期間の満了の時で、更新されるかどうかが問題になります。

出典