試用期間でクビになる確率は低い?よっぽどでなければ本採用される理由

クビ・本採用見送りが不安

試用期間でクビになる確率は?よっぽどのことがない限り本採用される理由

更新日 2026-10-05

試用期間でクビになる確率は?よっぽどのことがない限り本採用される理由(試用期間ナビの記事)
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試用期間中に働いている人のために、労働基準法・労働契約法の条文と厚生労働省の資料を確かめて記事を書いています。個別の判断が必要なときは、労働局の総合労働相談コーナーや弁護士への相談をおすすめしています。

試用期間でクビになる確率を、働く人1人あたりの数字で示した公的な統計はありません。公的機関のデータで確認できたのは、厚生労働省の要請で労働政策研究・研修機構(JILPT)が2004年に行った企業調査です。試用期間がある企業のうち、「ここ5年間に本採用しなかった例がある」と答えた企業は13.1%でした。

本採用されないことが少ないのには、理由があります。試用期間中も労働契約はすでに成立していて、会社がクビ(本採用拒否・解雇)にできるのは、客観的に合理的な理由があり、社会通念上も相当といえる場合に限られるからです(最高裁・三菱樹脂事件、労働契約法16条)。無断欠勤が続く、採用の判断を左右する経歴を偽っていた、指導しても改まらないといった「よっぽどのこと」がなければ、本採用されるのが普通です。

この記事では、確率のデータの読み方、「よっぽど」に当たる事情、入社からの日数で変わるルール、クビと言われた時と、その後の再就職までの段取りを説明します。

この記事の要点

  • 個人がクビになる確率の公的な統計はない。2004年の公的機関の企業調査では、5年間に本採用しなかった例がある企業は13.1%
  • 試用期間中のクビにも、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要(三菱樹脂事件・労働契約法16条)
  • 入社から14日以内に外れるのは「解雇予告」の決まりだけ。理由が要らなくなるわけではない
  • クビと言われたら、その場で退職届を書かず、言われた内容を記録して理由の証明書を請求する

試用期間でクビになる確率|公的な調査で分かること

「試用期間 クビになる確率」で調べると、いろいろな数字が出てきます。ただ、出どころが書かれていない数字は、うのみにしないほうが安全です。この記事で確認できた公的機関のデータは、次の企業調査です。

「試用期間の終わりに本採用しないことがあるか」への回答 企業の割合
本採用しないことがあり、ここ5年間に実際の例がある 13.1%
本採用しないこともありうるが、ここ5年間に例はない 58.0%
会社の側から本採用にしないことはない 27.4%

出典:労働政策研究・研修機構 調査シリーズNo.4「従業員関係の枠組みと採用・退職に関する実態調査」。2004年10月に従業員10人以上の企業1万社へ調査票を送り、2,765社が回答。表は、試用期間がある企業(2,292社)を対象にした集計です。

この表は会社の割合で、社員1人がクビになる確率ではありません。表から読み取れるのは、次の2点です。

  • 5年間に1人でも本採用しなかった会社は、13.1%にとどまる
  • 85.4%(58.0%と27.4%の合計)の会社では、5年間に1人も本採用を拒否していない

20年以上前の調査なので、今の割合が同じとは限りません。それでも、本採用しないことが日常的に起きているわけではないことは分かります。

「よっぽどのこと」とは?試用期間でもクビに理由が要る仕組み

知恵袋などのQ&Aサイトでも「試用期間でクビになるのは、よっぽどのことがあった時だけ」という話が出てきます。これには法律上の裏づけがあります。

最高裁は三菱樹脂事件(昭和48年12月12日・大法廷)で、試用期間付きの契約を、会社が後から契約を解く権利(解約権)を残したまま成立した労働契約だと位置づけました。採用の時点では適性を見極める材料がそろわないので、働きぶりを見てから最終的に決める、という考え方です。そのうえで、この解約権を使えるのは、解約権を残した趣旨・目的に照らして「客観的に合理的な理由が存し社会通念上相当として是認される場合に限られる」としています。

試用期間中は、本採用後の解雇よりも広い範囲で解約が認められるとされています。それでも理由は必要で、労働契約法16条も、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は無効と定めています。

「よっぽど」に当たりやすい事情・当たりにくい事情

厚生労働省の裁判例のページでは、普通解雇の理由を、①病気などで働けない(労務の提供ができない)、②能力不足・成績不良・勤務態度の不良・適格性の欠如、③職場の規律違反や職務の怠慢、④経営上の必要、などに分けて整理しています。試用期間中の「よっぽどのこと」も、このどれかに当たり、しかも程度が重い場合です。

下の表の左の列は、労働基準監督署が予告なしの即時解雇を認めるかを判断する基準(解雇予告除外認定)に挙がっている例と、中央労働委員会のあっせん事例の解説で、試用期間中の解約の判断に関して紹介されている裁判例から取っています。右の列は、裁判例や厚生労働省の資料で理由として認められなかった例と、左の列の基準に当たらない例です。

場面 理由として重く見られやすい例 それだけでは理由として弱い例
出勤 正当な理由のない無断欠勤が2週間以上続き、出勤の督促にも応じない/遅刻や欠勤が多く、何度注意されても改めない 体調不良を事前に連絡して休んだ
経歴 採用の条件に関わる経歴を偽っていた 仕事の適性や能力と関係のない質問への答えが、事実と違っていた
指示・態度 急ぎの業務の指示や代表者の指示に応じない(ブレーンベース事件)/周囲とのもめごとが絶えない(雅叙園観光事件) 会長に声を出してあいさつしなかったこと(テーダブルジェー事件では、これを理由にした解約は無効)
仕事の力 面接でパソコンに詳しいと述べていたのに満足に使えず、期待された仕事をこなす見込みが見いだせない(ブレーンベース事件) 高い待遇で採用された管理職でも、仕事ぶりが著しく悪いとまではいえない(オープンタイドジャパン事件では本採用拒否は無効)

4つの事件は、いずれも中央労働委員会の解説で紹介されている東京地裁の裁判例です。どれも、問題になる事情があったかどうかだけでなく、その程度が重いかどうかが問われています。経歴の行の右の例は、採用内定の取消について厚生労働省のQ&Aが示している考え方です。

どんな人が本採用されにくいのか、会社が見ているところについて詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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正社員でも3ヶ月・6ヶ月の試用期間でも、クビの基準は同じ

正社員かどうか、3ヶ月か6ヶ月かで基準が変わるのでは、と気にする人もいますが、労働契約法16条には、雇用形態や試用期間の長さで適用を分ける定めはありません。どの場合も、クビに理由が要ることは同じです。

試用期間の長さは、先ほどのJILPTの調査で、新卒・中途とも「3か月程度」が最も多く(新卒69.1%・中途68.1%)、次いで「6か月程度」(新卒12.2%・中途10.9%)でした。

状況 確認すること
3ヶ月の試用期間の途中でクビと言われた 期間の途中でも、理由が要ることは同じ。入社から14日を超えていれば解雇予告か予告手当も必要
6ヶ月以上の長い試用期間 6か月は調査でも2番目に多い長さ。ただし、ブラザー工業事件(名古屋地裁 昭和59年3月23日)では、見習期間で適性を判断できたのに、さらに長い試用期間を重ねる合理的な必要はないとして、解雇が無効とされた(必要な期間を超える試用期間は、その限りで無効)
試用期間を延長された 延長の根拠(就業規則・契約)と理由を確認する。延長後に本採用しない時も理由が要る
「1年契約」など期間を区切って採用された 適性を見る目的の期間は、期間満了で当然に終わる明確な合意などがない限り、試用期間と扱われる(神戸弘陵学園事件・最高裁 平成2年6月5日)
契約社員など期間の決まった契約 期間の途中で辞めさせるには「やむを得ない事由」が必要(労働契約法17条)。期間の定めのない社員の解雇より厳しい条件とされる

長い試用期間の見分け方について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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「14日以内ならクビにできる」は誤解|日数で変わるのは予告だけ

労働基準法21条は、試用期間中の人には解雇予告の決まり(20条)を当てはめないとしつつ、14日を超えて引き続き働いた人には当てはめるとしています。14日以内で外れるのは、予告の手続きだけです。

タイミング 解雇予告・予告手当 クビにする理由
入社から14日以内 不要(労働基準法21条) 必要(労働契約法16条)
入社から14日を超えた後 30日前の予告か、足りない日数分の平均賃金(解雇予告手当)が必要(労働基準法20条) 必要
試用期間の終わりに本採用しない時 14日を超えていれば、上と同じく予告か予告手当が必要 必要(三菱樹脂事件)

14日は、土日祝も含めた暦の日数で数えるのが一般的です。たとえば3か月の試用期間の終わりに本採用しないなら、会社は終わりの30日前までに伝えるか、30日に足りない日数分の予告手当を払う必要があります。

解雇予告手当の計算と、14日以内に言われた場合の扱いについて詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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試用期間中に「クビ」と言われた時に今日やること

言われた直後は動揺しますが、その場で退職届を書いたり、辞めると返事をしたりする前に、次の4つを確認します。

  1. 言われたことを記録する:いつ・誰に・何と言われたか、理由として何を挙げられたかをメモする。メールやチャットは保存する
  2. 解雇なのか、退職を勧められているだけなのかを確かめる:「辞めてもらえないか」は退職勧奨のことがあり、理由を問わず断れる(厚生労働省「確かめよう労働条件」)。退職届を出すと、自分の意思で辞めた扱いになりやすい
  3. 解雇の理由を書面でもらう:解雇を予告された日から退職の日までの間に請求すれば、会社は遅滞なく理由の証明書を出さなければならない(労働基準法22条2項)。退職した後でも請求できる(同条1項)
  4. 納得できなければ相談する:都道府県労働局や労働基準監督署にある総合労働相談コーナーは、解雇の相談も受け付けていて、予約不要・無料。助言・指導やあっせんの案内もある

再就職を考えている人は、証明書の中身にも気を配ります。証明書には、本人が請求していない事項を書いてはいけない決まりがあります(労働基準法22条3項)。次の会社に見せる予定があり、理由まで書いてほしくない時は、解雇された事実だけの証明を求めることもできます(「確かめよう労働条件」Q&A)。

証明書の請求の例文と、本採用を見送られた時の5つのステップについて詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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クビになった後の失業保険とハローワークでの手続き

雇用保険に入っていた人は、離職理由の書き方を必ず確認します。会社がハローワークに出す「離職証明書」には、辞める前に本人が記名することになっているので、その時に離職理由の欄も確かめてください。ハローワークの基準では、解雇(本人の責任による重大な理由での解雇を除く)で離職した人は「特定受給資格者」に当たり、事実と違って「自己都合」と書かれていたら、ハローワークで異議を述べて事情を説明できます。

失業保険(基本手当)は、原則として離職前の2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あることが条件で、特定受給資格者などは1年間に6か月以上でもよいとされています(雇用保険法13条・ハローワーク)。入社して数か月なら、前の会社の期間を含めて数えられるかをハローワークで確認してください。

ハローワークの求人で入社した人は、求人票と実際の条件が違っていなかったかも見直します。求人で示す事項には「試みの使用期間に関する事項」が含まれています(職業安定法施行規則4条の2)。試用期間の有無や長さが求人票と違っていた場合は、ハローワークの窓口か「ハローワーク求人ホットライン」に申し出ると、ハローワークが会社に事実確認や指導をします(「確かめよう労働条件」Q&A)。

試用期間でクビになった時の失業保険と、会社都合になるかどうかについて詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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再就職に向けて今週やること

解雇の撤回を求めるか、次の仕事に進むかは、どちらを選んでもかまいません。次に進むと決めたら、今週中に次の3つを済ませておくと、その後の手続きが止まりません。

  • 書類をそろえる:雇用契約書(労働条件通知書)、就業規則の写し、給与明細、解雇の理由の証明書、離職票をひとまとめにする
  • ハローワークで求職の申込みをする:住まいを管轄するハローワークで求職の申込みをしたうえで、届いた離職票を出すと、失業保険の手続きに進む
  • 応募書類の職歴を決める:短い期間の職歴をどう書くか、面接で退職理由をどう伝えるかを先に決めておく

試用期間で辞めた・辞めさせられた職歴を、履歴書にどう書くかについて詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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試用期間のクビが怖い時に、本採用までにできること

クビになるのが怖い時は、会社が理由にしやすい事情を自分から作らないことと、改善している事実を残すことが具体的な対策になります。

  • 評価の基準を聞く:上司との面談で「本採用の判断で、どのような点を見ていますか」と聞く。直す点がはっきりする
  • 注意や指導をメモする:日付・内容・自分がどう直したかを書き残し、直したことを上司に報告する
  • 遅刻・欠勤は必ず事前に連絡する:無断での欠勤や遅刻の繰り返しは、理由として重く見られやすい
  • 体調の不安は早めに相談する:仕事が原因でけがや病気をした時の解雇制限(労働基準法19条)は、試用期間中も当てはまる
  • 面接で伝えたことと実際のずれを早めに相談する:できると伝えた作業でつまずいているなら、教わる機会を自分から求める

「仕事についていけない」「能力不足と言われた」という不安が大きい場合は、能力不足を理由にした解雇がどこまで認められるかを先に知っておくと、上司と話す時の材料になります。

能力不足で試用期間中にクビと言われた時の考え方と対処について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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よくある質問

試用期間中にクビになった事例はある?

中央労働委員会が公表している個別労働紛争のあっせん事例(実際の事件を参考に作った事例で、設定は架空)に、3か月の試用期間の途中で、ミスや顧客からの苦情を理由に解雇された例があります。解雇理由証明書が出ていないことや指導の不足が話し合いの材料になり、別の支店で改めて雇い入れる内容で合意しています。ネット上の体験談は事実を確かめられないので、判断の材料にするなら、このように公的機関が公表した事例や裁判例を使ってください。

公務員の試用期間(条件付採用)でクビになることはある?

公務員には労働契約法が適用されません(同法21条1項)。国家公務員は国家公務員法59条、地方公務員は地方公務員法22条で、採用はまず条件付で、6か月の期間を良好な成績で勤務すると正式採用になると定められています(地方公務員は、人事委員会などが1年を超えない範囲で延長できます)。条件付採用期間中の職員の分限(免職など)については、人事院規則や条例で必要な事項を定められることになっているので、所属先の人事担当に確認してください。正式採用されなかった人の割合は、この記事では公的な統計を確認できませんでした。

試用期間中に病気やけが、事故をしたらクビになる?

仕事が原因のけがや病気で療養のために休む期間と、その後の30日間は、解雇できません(労働基準法19条)。この決まりは試用期間中も当てはまります。厚生労働省の「確かめよう労働条件」では、重大な過失で会社に大きな損害を与えた場合などは別として、仕事中に労災事故を起こしたことだけを理由にした解雇は、一般に無効になると考えられるとしています。休日の私生活での交通事故も、それだけで解雇するのは難しいとされます。ただし、運転免許が仕事に欠かせない職種で免許を失った場合などは、別に判断されます。

会社に「試用期間中はいつでもクビにできる」と言われたけど本当?

本当ではありません。就業規則に「試用期間中に不適格と認めた者は解雇する」と書かれていても、実際に解雇できるのは、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当といえる場合だけです。入社から14日を超えていれば、30日前の予告か予告手当も必要です。言われた日時と内容をメモしておき、実際に解雇を告げられたら理由の証明書を請求してください。

出典