試用期間で即日退職したい時は?14日以内の誤解と体調不良の場合

試用期間ナビ編集部運営:ランドマーク出版
試用期間中に働いている人のために、労働基準法・労働契約法の条文と厚生労働省の資料を確かめて記事を書いています。個別の判断が必要なときは、労働局の総合労働相談コーナーや弁護士への相談をおすすめしています。
試用期間中に即日で退職したい時、正社員など契約期間の定めがない人は、原則として申し入れから2週間たたないと雇用が終わりません(民法627条1項)。ただし、会社が合意すれば、その日のうちに辞められます。
「入社から14日以内なら即日退職できる」という話は、会社が解雇する時の予告の決まり(労働基準法21条)を取り違えたもので、働く人の退職のルールではありません。この記事では、即日退職できる場合を条文で整理し、体調不良の時の進め方、会社に合意を求める電話の例文、合意してもらえない時の休み方と注意点までを説明します。
この記事の要点
- 期間の定めがない契約は、申し入れから2週間で終わるのが原則。会社が合意すれば即日退職できる
- 「14日以内なら即日退職できる」は誤り。14日は、会社が試用期間中の人を解雇する時の予告の決まり
- 契約時に明示された条件が実際と違う時(労働基準法15条2項)、有期契約でやむを得ない事由がある時(民法628条)は、すぐに辞められる
- 合意が得られない時は、退職日まで欠勤する方法もある。無断にせず、休む理由と連絡を欠かさない
試用期間中に即日退職できる場合・できない場合
「試用期間ならすぐ辞められる」と思われがちですが、その日に辞められるかどうかは、試用期間かどうかではなく、契約期間の定めと会社の合意で決まります。
| あなたの状況 | その日に辞められるか | 根拠 |
|---|---|---|
| 期間の定めがない契約(正社員など)で、会社が合意した | 辞められる | 会社との合意 |
| 期間の定めがない契約で、会社が合意しない | 辞められない。申し入れから2週間で終わる | 民法627条1項 |
| 契約時に明示された労働条件が、実際と違う | 辞められる(すぐに契約を解除できる) | 労働基準法15条2項 |
| 期間の定めがある契約で、やむを得ない事由がある | 辞められる(直ちに契約を解除できる) | 民法628条 |
| 期間の定めがある契約で、やむを得ない事由がない | 原則として辞められない。合意か期間の満了を待つ | 民法628条 |
会社の合意があれば、その日に辞められる
期間の定めがない契約でも、会社と働く人が合意すれば、退職日はいつにでもできます。合意してもらえたら、退職日を電話だけで済ませず、メールか退職届で日付を残してください。
労働条件が違う時は、すぐに契約を解除できる
契約を結ぶ時に明示された労働条件が事実と違う場合、働く人はすぐに労働契約を解除できます(労働基準法15条2項)。給料・仕事の内容・勤務時間などを、労働条件通知書や雇用契約書と並べて確かめます。仕事のために引っ越した人が、契約を解除した日から14日以内に帰郷する場合は、必要な旅費を会社が負担する決まりもあります(同条3項)。
期間の定めがある契約は「やむを得ない事由」が要る
契約社員や、期間を決めて雇われているパートなどは、期間の途中で一方的に辞められるのは、やむを得ない事由がある時です(民法628条)。どんな事情が当たるかは法律に例が書かれておらず、個別に判断されます。その事由が本人の過失で生じた場合は、会社に損害を賠償する責任を負うことも定められています。迷う時は、期間の満了を待つか、会社と合意して辞める方法を先に考えます。
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「14日以内なら即日退職できる」は誤解|労働基準法21条は解雇の決まり
試用期間の「14日」は、会社が解雇する時のルールです。会社は、労働者を解雇する時は少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を払う決まりで(労働基準法20条)、21条は、この予告が要らない人として「試の使用期間中の者」を挙げています。ただし、14日を超えて引き続き使われるようになった人には、予告が必要になります。
つまり21条は、入社から14日以内の試用期間中の人を解雇する時は、解雇予告も予告手当も要らないという意味で、働く人が即日で辞められるという意味ではありません。働く人が辞める時は、入社から何日目でも民法627条が当てはまります。
| よくある誤解 | 条文・公式資料での扱い |
|---|---|
| 入社14日以内なら即日退職できる | 21条は解雇予告の適用除外の決まり。働く人の退職は、申し入れから2週間(民法627条1項) |
| 入社14日以内なら、会社はどんな理由でも即日解雇できる | 予告や予告手当が要らないだけ。解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」は無効(労働契約法16条) |
| 就業規則に「1か月前」とあるから即日は無理 | 会社が合意すれば即日も可。2週間を超える予告期間の設定は無効とする方向が示されている(厚生労働省の裁判例のページ) |
| 即日で辞めたら、その月の給料はもらえない | 働いた分は全額払う決まり(労働基準法24条)。退職後に請求すれば7日以内に払う(同法23条) |
| 即日で辞めたら、罰金を払う決まりになっている | 違約金や損害賠償額をあらかじめ決める契約は禁止(労働基準法16条) |
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入社1日目・3日・1週間・2週間|日数別の辞め方
試用期間1日で辞める場合も、1週間で辞める場合も、試用期間2週間で退職する場合も、法律上のルールは同じです。違うのは、準備できることの量です。
| 入社からの日数 | 辞める時のルール | 進め方のポイント |
|---|---|---|
| 1日目・2日目 | 申し入れから2週間。会社が合意すれば即日も可 | 翌朝の始業前までに上司に電話する。研修中なら研修の担当者にも伝わるよう頼む |
| 3日目〜1週間 | 同じ | 社員証・制服・パソコンなど、借りた物の返し方を確認する |
| 2週間前後 | 同じ。14日を過ぎても退職のルールは変わらない | 給料の締め日と支払日を確認する |
| 1か月以上 | 同じ | 担当している作業を、短いメモにして渡す |
入社して1日でも働いていれば、その日の給料は支払われます(労働基準法24条)。「研修中だから給料は出ない」と言われても、会社の指示で受けている研修は、会社の指揮命令の下にある時間として労働時間に当たります(厚生労働省Q&A)。
試用期間3日で退職する、2日目で辞めるといった早い時期は、引き継ぐ仕事がほとんどありません。準備するのは、上司への電話と、借りた物を返す段取りの2つです。
体調不良で即日退職したい時の進め方
体調不良で試用期間中の退職を考えている時は、次の順番で進めます。
- 医療機関を受診する:働けない状態かを医師に確かめ、必要なら診断書をもらう
- 会社に電話で伝える:体調不良で出勤できないこと、退職したいこと、希望の退職日を伝える
- 退職日を決める:会社が合意すればその日に辞められる。合意がなければ、申し入れから2週間を欠勤として休み、診断書を出す
- お金と保険を確かめる:欠勤中の給料、傷病手当金、退職後の健康保険
期間の定めがある契約では、体調不良で働き続けられないことが民法628条の「やむを得ない事由」に当たるかが問題になります。診断書を添えて会社に事情を説明し、合意での退職もあわせて相談してください。
欠勤中の傷病手当金と、退職後の扱い
健康保険に入っている人が、仕事以外の病気やけがの療養のために働けず、連続して3日休んだ後の4日目以降で給料が出ない日は、傷病手当金の対象になります(健康保険法99条・協会けんぽ)。退職日までの欠勤の期間も、条件を満たせば対象です。
退職した後も受け続けるには、退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あることなどが条件です(健康保険法104条・協会けんぽ)。入社して1年たっていない人は、前の勤め先の加入期間とつながるかで変わるので、加入している健康保険に確かめてから退職日を決めてください。
連絡と話し合いは断たない
厚生労働省の裁判例のページでは、入社してまもなく病気を理由に欠勤して辞めた人に、会社への賠償が命じられた例が紹介されています(ケイズインターナショナル事件・東京地裁 平成4年9月30日)。この事件では、本人が支払いを約束する念書を書いていたことや、話し合いを拒み続けたことなども考え合わされ、念書の金額の約3分の1とされました。体調が悪くても、休む連絡と、退職日についての返事は、電話かメールで続けてください。
つらさが続く時は、厚生労働省の「こころの耳」で、働く人のメンタルヘルスの相談を電話・SNS・メールで受け付けています(匿名・無料)。
試用期間中に体調不良で休む時の欠勤の扱いについて詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
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即日退職を会社に伝える手順と電話の例文
即日で辞めたい時は、メールだけで済ませず、まず電話で直属の上司に伝えます。
- 始業前に電話する:上司が出なければ、留守番電話に名前と「退職のご相談」とだけ残し、メールでも送る
- 退職の意思と希望の退職日を伝える:「本日付」を希望し、難しければ最短の日付を聞く
- 合意した退職日をメールで確認する:言った・言わないにならないよう日付を書く
- 退職届を出す:出社できない時は郵送する
- 借りた物を返す:社員証・制服・パソコンなど、郵送でよいか、どこへ送るかを聞く
- 書類の送り先を伝える:源泉徴収票・離職票など、退職後の書類を受け取る住所を伝える
電話で合意を求める例文
お疲れさまです。〇〇部の〇〇です。突然のご連絡で申し訳ありません。一身上の都合により、退職させていただきたくお電話しました。勝手なお願いですが、本日付で退職させていただくことはできないでしょうか。難しい場合は、いちばん早い日付を教えていただけますか。
体調不良の場合の例文
〇〇です。体調を崩しており、医師から当面は働けないと言われました。勤務を続けるのが難しいため、退職させていただきたいと考えています。可能であれば本日付、難しければ〇月〇日付での退職をお願いできないでしょうか。退職日までは欠勤させていただき、診断書は郵送いたします。
合意した後に送るメールの例文
本日お電話でお伝えしたとおり、〇年〇月〇日付で退職させていただきます。お借りしている社員証と制服は、〇日までに郵送で返却いたします。源泉徴収票などの書類は、下記の住所にお送りいただけますでしょうか。 住所:〇〇〇〇 短い間でしたが、ありがとうございました。
退職の理由をどう伝えるかについて詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
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会社が即日退職に合意しない時|退職日まで出社しない方法
会社が合意しない場合でも、期間の定めがない契約なら、申し入れから2週間で雇用は終わります。厚生労働省のモデル就業規則の解説も、会社の承認がなくても申し出から原則として14日がたてば退職になると説明しています。その2週間を出社せずに過ごす方法と、気をつけることは次のとおりです。
| 方法 | 給料 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 年次有給休暇を使う | 出る | 入社から6か月続けて働き、8割以上出勤して付くので(労働基準法39条1項)、入社直後はまだないことが多い。会社が独自に休暇を付けているかは就業規則で確かめる |
| 欠勤する | 出ない | 欠勤することと理由を会社に伝える。就業規則によっては、欠勤が懲戒などの対象になることがある |
| 連絡せずに休む | 出ない | 避ける。無断欠勤として扱われ、解雇や賠償を求められるおそれがある |
厚生労働省のQ&Aでは、会社が解雇予告なしに解雇できると労働基準監督署長が認める例の1つに、「2週間以上正当な理由がなく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合」が挙げられています。連絡を絶つと、自分から辞めたはずが解雇として扱われるおそれがあります。
損害賠償を請求すると言われたら
違約金や損害賠償額をあらかじめ決めておく契約は禁止されています(労働基準法16条)。厚生労働省のQ&Aでは、途中で辞めたからといって当然に損害賠償を請求されるわけではなく、会社に損害が生じているか、それが退職によるものかを検討して判断されると説明しています。請求されたら、払う前に総合労働相談コーナーや弁護士に相談してください。
試用期間で辞める時の手順や、退職届の書き方について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
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自分で伝えられない時|退職代行で交渉できるのは弁護士と労働組合だけ
電話をかけることもつらい時は、退職代行を使う方法もあります。ただし、退職日や未払いの給料などを会社と交渉できるのは、弁護士か労働組合が運営するものだけです。弁護士でない人が報酬を得て法律事件の代理や和解などを仕事にすることは禁止されており(弁護士法72条)、労働組合には組合員のために会社と交渉する権限があります(労働組合法6条)。民間企業が運営するものは、退職の意思を伝えることしかできません。
即日退職に会社が合意するかどうかは、誰が伝えても会社の判断によります。費用をかける前に、退職日の希望と、会社と交渉が必要になりそうな点(未払いの給料など)があるかを整理しておきます。
無料の公的な相談先もあります。職場のトラブルは総合労働相談コーナー(各都道府県の労働局や労働基準監督署など)で、平日の夜や土日祝は労働条件相談ほっとライン(0120-811-610)で相談できます。
試用期間で辞めると伝えるのが気まずい時の伝え方について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
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パート・アルバイトの試用期間で即日退職したい時
パートやアルバイトも、考え方は同じです。期間の定めがなければ申し入れから2週間、期間の定めがあればやむを得ない事由がある時に直ちに辞められ、どちらも会社が合意すれば即日退職できます。シフト制の職場では、店長など、シフトを決めている人に電話で伝えます。
バイト・パートの試用期間で辞める時の言い方について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
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即日退職した後にやること
辞めた後は、次の手続きを早めに済ませます。入社して間もなく辞めた人は、期間の条件に気をつけてください。
- 健康保険:資格は退職日の翌日になくなる(健康保険法36条)。国民健康保険か家族の扶養に入る。任意継続は「退職日までに継続して2か月以上の加入」が条件なので(協会けんぽ)、入社2か月以内だと使えないことがある
- 年金:次の会社にすぐ入らない時は、住んでいる市区役所か町村役場で、退職日の翌日から14日以内に国民年金の手続きをする(日本年金機構)
- 書類:源泉徴収票は、会社が退職の日から1か月以内に渡す決まり(所得税法226条)。失業保険の手続きに使う離職票は、本人が希望しないと作られないことがあるので(雇用保険法施行規則7条3項)、要るなら会社に伝える
- 借りた物:社員証・制服・資格確認書などを返す
よくある質問
退職の電話は何時にかければいいですか?
始業前で、上司が電話に出られる時間がよいです。つながらない時は、留守番電話に名前と用件を残し、同じ内容をメールでも送っておきます。
研修中でも即日退職できますか?
研修中でも、退職のルールは同じです。会社が合意すれば即日、合意がなければ申し入れから2週間で雇用が終わります。会社の指示で受けた研修の時間は労働時間に当たるので、その分の給料も支払われます。
退職届は出さないといけませんか?
民法627条は申し入れの方法を決めていないので、口頭や電話でも申し入れになります。ただ、退職日の食い違いを防ぐため、メールか退職届でも日付を残し、就業規則で提出が決まっていれば退職届も出してください。出社できない時は郵送でかまいません。
即日退職しても失業保険はもらえますか?
失業保険(雇用保険の基本手当)は、原則として離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あることが条件です(雇用保険法13条1項)。入社してすぐ辞めた人は、前の勤め先の期間と通算して届くかどうかで変わるので、ハローワークで確かめてください。
- 民法(e-Gov法令検索)第627条・第628条
- 労働基準法(e-Gov法令検索)第15条・第16条・第20条・第21条・第23条・第24条・第39条
- 労働契約法(e-Gov法令検索)第16条
- 健康保険法(e-Gov法令検索)第36条・第99条・第104条
- 雇用保険法(e-Gov法令検索)第13条
- 雇用保険法施行規則(e-Gov法令検索)第7条
- 所得税法(e-Gov法令検索)第226条
- 弁護士法(e-Gov法令検索)第72条
- 労働組合法(e-Gov法令検索)第6条
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」裁判例 辞職
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A 長期契約を結んだものの、途中で退職した場合には損害賠償請求されますか?
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A 即時解雇OK?解雇予告や予告手当の不要な場合はありますか?
- 厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A 労働時間の適正な把握方法について教えて下さい。
- 厚生労働省「モデル就業規則」(令和7年12月版)第52条 退職の解説
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「任意継続」(退職後の健康保険)
- 日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
- 厚生労働省 労働条件相談「ほっとライン」
- 厚生労働省「こころの耳」相談窓口
- ハローワークインターネットサービス「基本手当について」



