試用期間が過ぎたら何が変わる?本採用の通知や手続き、給料の変わり方

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試用期間が過ぎたらどうなる?本採用の通知・手続きと給料の変化

更新日 2026-10-05

試用期間が過ぎたらどうなる?本採用の通知・手続きと給料の変化(試用期間ナビの記事)
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試用期間中に働いている人のために、労働基準法・労働契約法の条文と厚生労働省の資料を確かめて記事を書いています。個別の判断が必要なときは、労働局の総合労働相談コーナーや弁護士への相談をおすすめしています。

試用期間が過ぎたら、会社が本採用しないと決めていない限り、同じ労働契約のまま本採用として働き続けるのが基本です。試用期間中もすでに労働契約は成立しているので、本採用のために契約を結び直す必要はなく、本採用の通知や辞令を出すかどうかも会社しだいです。

給料や手当が変わるのは、試用期間中と本採用後で条件を分けて決めていた場合です。この記事では、試用期間の終わる日の確かめ方から、本採用の通知がない時の確認のしかた、給料・社会保険・有給休暇の変わり方、本採用されない時や延長の時にやることまでを順に説明します。

この記事の要点

  • 試用期間の満了で契約が終わるのは、本採用の拒否が許される場合だけ。何もなければ同じ契約が続く
  • 本採用の通知や辞令を出すよう会社に義務づけた法律の規定はない。通知がなければメールで確認しておく
  • 本採用で変わりやすいのは手当などの給料。2004年の企業調査では「賃金は特に変化しない」会社が約6割
  • 終わる日に本採用しないなら、入社15日目以降の人には30日前の予告か予告手当が要る

試用期間が過ぎたらどうなる?同じ契約のまま本採用になる

試用期間は、会社が契約を解約する権利を残した期間です。その権利を使わないまま試用期間が終われば、同じ労働契約がそのまま続きます。最高裁の神戸弘陵学園事件(平成2年6月5日)も、試用期間付きの契約が試用期間の満了で終わるのは、本採用の拒否、つまり残しておいた解約の権利を使うことが許される場合でなければならないとしています。

「仮採用」「見習い」と呼んでいても、本採用するかを見極める期間なら、考え方は同じです。試用期間が終わったからといって、契約が自動的に切れたり、選考をやり直したりするわけではありません。

参考までに、国家公務員の条件付採用では、期間が終わる前に任命権者が別の措置をとらない限り、期間が終わった日の翌日に正式な採用になると、規則で決められています(人事院規則8-12第32条の2)。民間の会社にこの規則が当てはまるわけではありませんが、「何もなければ本採用」という流れは同じです。

本採用で何が変わる会社が多いか

労働政策研究・研修機構が2004年に企業に行った調査(有効回答2,765社)では、試用期間終了後に本採用になる時、何が変わるかを尋ねています。多くの会社で、仕事の中身や働く時間は本採用の前後で変わっていません。

本採用で 変わる・増える 特に変わらない
業務の内容 7.5% 87.7%
配属部署 12.5%(本格的な配属先へ配置換え) 79.8%
資格等級 4.7%(昇格) 87.1%
賃金 11.3%(昇給)・24.0%(手当などが増える) 59.6%
就業時間(帯) 4.5% 89.2%

自由記述では、本採用で「労働組合員になる」「日給制から月給制へ移行」「賞与対象」といった変化も挙がっていました。どれが自分に当てはまるかは、会社の就業規則や労働条件通知書で決まります。

本採用の条件は会社が決める

本採用になる条件は、法律ではなく会社が就業規則などで決めます。前述の調査で、本採用しないことがあると答えた会社に、本採用せずに雇用を打ち切る基準を設けているかを聞くと、「設けている」は30.2%で、「特に基準は設けていない」が66.0%でした。基準がはっきりしない会社も多いので、試用期間中の面談などで、何ができれば本採用になるのかを早めに聞いておきます。

試用期間そのものの意味や、入社から本採用までの流れについて詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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試用期間の満了日はいつ?終わる日の確かめ方

試用期間が満了する日は、入社日を1日目として数え、「3か月」なら3か月後の同じ日の前日です(民法140条・143条)。満了日の翌日が、本採用として働く最初の日になります。

入社日 試用期間 満了日(試用期間の終わる日) 本採用として働く最初の日
4月1日 3か月 6月30日 7月1日
4月1日 6か月 9月30日 10月1日
10月15日 3か月 翌年1月14日 翌年1月15日

自分の入社日と試用期間の長さを入れると、14日目と満了日を計算できます。

雇用契約書や就業規則に終わる日が書いてあれば、そちらを優先します。試用期間6ヶ月がもうすぐ終わる、という人は、満了日の1か月前くらいに次のことを確かめておくと、終わったあとに慌てずに済みます。

  1. 満了日の日付(就業規則・雇用契約書と、上のツールの日付が合っているか)
  2. 本採用の通知や辞令が出る会社か。出ないなら、誰に確認すればよいか
  3. 本採用後の給料・手当が試用期間中と変わるか。変わるなら金額と、どの月の給料から反映されるか
  4. 6か月の試用期間なら、有給休暇が付く日(入社日から6か月たった日。4月1日入社なら10月1日)

試用期間の長さごとの終わる日や、長さの決まり方について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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本採用の通知がない時は?通知書がなくても本採用になるのか

試用期間の終了時に本採用の通知書や辞令を出すよう、会社に義務づけた法律の規定はありません。試用期間から本採用への手続きとして辞令を交付する会社もあれば、口頭で伝えるだけの会社、特に何も言わない会社もあります。

試用期間の満了日を過ぎても何も言われなかった場合は、会社が解約の権利を使わなかったことになり、同じ契約のまま本採用として働き続けている、と考えるのが基本です。それでも不安が残る時や、給料が変わるはずなのに説明がない時は、口頭ではなくメールで確認しておくと、日付と答えが記録に残ります。

【本採用の確認メールの例】 〇〇部 〇〇です。〇月〇日に入社し、〇月〇日で試用期間が満了しました。 本採用となっているか、念のため確認させてください。 あわせて、本採用後の給与・手当に変更がある場合は、金額と適用される月を教えていただけますでしょうか。 お手数ですが、よろしくお願いいたします。

満了日を過ぎてから「実は延長していた」「本採用はまだ」と言われた場合は、いつ、誰から、何と言われたかをメモし、就業規則の延長の決まりを確かめたうえで、後述の相談先に相談します。

試用期間満了通知書・本採用通知を受け取ったら確認すること

試用期間の終わりに会社から書面を受け取ることもあります。書面の名前は「本採用通知書」「辞令」「試用期間満了通知書」など会社によって違うので、名前ではなく中身で、次のどれに当たるかを確かめます。

書面の中身 確認すること
本採用する(本採用通知・辞令) 本採用の日付、本採用後の給料・手当・所属・役職、試用期間中と違う条件があればその内容
試用期間を延長する 延長の理由と期間、就業規則のどの条文にもとづくか、延長中の条件
本採用しない(試用期間満了による解雇の予告通知など) 理由、辞める日、予告の日から辞める日まで30日あるか、足りなければ予告手当が払われるか

本採用後に条件が変わる場合は、変わった内容を書面で受け取っておきます。労働契約法4条2項は、労働契約の内容をできる限り書面で確認するよう定めています。

本採用の時に、事前に聞いていた本採用後の条件より低い給料を示されることもあります。労働条件は会社と本人の合意で変えるのが原則で(労働契約法8条)、会社が本人の合意なく就業規則を変えて不利益に変えることは、原則としてできません(同9条)。その場でサインせず、求人票や労働条件通知書と見比べてから返事をします。

試用期間が過ぎたら給料・社会保険・有給休暇はどうなる?

試用期間後に何が変わるかを、項目ごとにまとめます。

項目 試用期間が過ぎたら 確認する書類
給料・手当 試用期間中と本採用後で条件を分けていれば、本採用後の条件になる。分けていなければ変わらない 求人票・労働条件通知書・給与明細
社会保険・雇用保険 加入条件に当たる人は、試用期間中から加入しているはず。本採用で初めて加入するものではない 給与明細の保険料の欄
有給休暇 入社日から6か月続けて働き、8割以上出勤すると付く。試用期間も数えに入る 就業規則
賞与 対象になる時期は会社の決まりしだい 賃金規程・就業規則
勤続年数 退職金などで試用期間を数えるかは会社の決まりしだい。モデル就業規則は通算する例 退職金規程・就業規則

試用期間中と本採用後の給料は、求人の段階で示す決まり

求人や募集では、試用期間中と終わった後で賃金などの条件が違う場合、それぞれを示すことになっています(職業安定法施行規則4条の2)。「試用期間中は月給〇万円、本採用後は〇万円」のように書かれていたなら、その金額が本採用後の給料の目安です。給料の計算期間の途中で本採用になった場合、どの月の給料から本採用後の金額になるかは会社の決まりしだいなので、最初の給与明細で確かめます。

社会保険は「本採用から」ではなく、条件に当たれば入社日から

前述の2004年の調査の自由記述には、本採用になる時に「社会保険の加入」をするという会社の例もありました。しかし、健康保険・厚生年金・雇用保険の対象外になる理由に、試用期間中であることは書かれていません(健康保険法3条・厚生年金保険法12条・雇用保険法6条)。加入条件に当たる人は、入社した日から被保険者になります(健康保険法35条・厚生年金保険法13条)。本採用で働く時間が増えて、そこで初めて加入条件に当たる場合は、その時から加入します。試用期間中も加入条件に当たっていたのに給与明細に保険料が引かれていなかった場合は、会社に加入の手続きを確認します。

試用期間中と本採用後の給料の違いや、減額のルールについて詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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試用期間と本採用の違い

試用期間中と本採用後の法律上の違いは、主に次の3つです。本採用後は、これらの特別な扱いがなくなります。

違い 試用期間中 本採用後
会社の解約の権利 会社が残している。通常の解雇より広い範囲で認められるが、理由は必要 残していた権利はなくなり、解雇には通常どおり「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が要る(労働契約法16条)
解雇予告 入社から14日以内なら要らない(労働基準法21条) 原則として30日前の予告か予告手当が要る(労働基準法20条)
最低賃金の減額 都道府県労働局長の許可があれば減額できる(最低賃金法7条) 試用期間を理由にした減額はできない

このほかの違い(給料・手当・賞与・退職金の扱いなど)は、法律ではなく会社の決まりで決まります。

試用期間中の立場や、正社員かどうかの考え方について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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試用期間の満了で本採用しないと言われたら

試用期間の終わりに本採用しないのは、会社が残しておいた解約の権利を使うことで、理由が必要です。最高裁の三菱樹脂事件は、この権利を使えるのは、権利を残した趣旨・目的に照らして客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合に限られるとしています。

手続きの面では、入社から14日を超えて働いている人を試用期間の満了日で辞めさせる場合も、原則として30日前の予告か、足りない日数分の解雇予告手当が必要です(労働基準法20条・21条)。予告の30日は予告した日の翌日から数えるので、たとえば9月30日に辞めさせるなら、遅くとも8月31日には予告が要ります(厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A)。

試用期間を期間の決まった契約の形にしていて、「契約満了なので終わり」と言われることもあります。神戸弘陵学園事件の考え方では、適性を見るために付けた期間なら、期間の満了で当然に契約が終わるという明確な合意などがない限り、試用期間と扱われます。「契約満了」という言葉だけで受け入れず、契約書の期間と、その期間を付けた目的を確かめます。

本採用しないと言われたら、その日のうちに次のことをします。

  1. 言われた日付、言った人、理由をメモする
  2. 解雇の理由を書いた証明書を請求する(予告された日から辞める日までの間に請求できる=労働基準法22条2項)
  3. 予告の日から辞める日まで30日あるかを数え、足りなければ予告手当が払われるかを確認する
  4. 納得できない時は、総合労働相談コーナー(都道府県労働局や労働基準監督署などにある・無料・予約不要)に相談する

本採用見送りを告げられた時の対処について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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試用期間を延長すると言われたら

試用期間の終わりに、本採用ではなく延長を伝えられることもあります。前述の2004年の調査では、試用期間を延長することがあると答えた会社は約3割(「延長することがあり、ここ5年間に事例がある」8.6%と「延長することがあるが、ここ5年間に事例はない」21.5%の合計)でした。

延長を言われたら、就業規則に延長の決まりがあるか、延長の理由は何か、いつまで延びるのかを確かめます。上の計算ツールで延長の月数を選ぶと、延長後の終わる日を確認できます。

試用期間を延長できる場合のルールや、延長を伝えられた時の対応について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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試用期間の終わりで辞めたい時

試用期間を終えるタイミングで、自分から辞めたいと考える人もいます。期間の定めのない契約なら、退職を申し出た日から2週間で契約が終わるので(民法627条1項)、満了日で辞めたい時は、遅くともその2週間前までに申し出ます。就業規則に申し出の時期の決まりがあれば、まずそれに沿って上司に相談すると話が進みやすくなります。

試用期間中や試用期間の終わりに辞める時の進め方について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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よくある質問

本採用の時に雇用契約書を作り直す必要はありますか?

法律上、作り直す決まりはありません。試用期間中も労働契約は成立していて、本採用後も同じ契約が続くからです。ただし、本採用で給料や仕事の内容が変わる場合は、変わった内容を書面で受け取っておくと安心です(労働契約法4条2項)。

試用期間がもうすぐ終わるのに、何も言われません。大丈夫ですか?

何も言われないまま満了日を過ぎれば、同じ契約のまま本採用として働き続けるのが基本です。会社が満了日で辞めさせるなら、入社15日目以降の人には原則30日前の予告か予告手当が必要なので、満了日の1か月前に何もなければ、本採用の通知が出るか、誰に確認すればよいかを聞いておきます。

試用期間が終わったら、すぐに有給休暇が使えますか?

有給休暇は試用期間の終わりではなく、入社日から6か月続けて働き、8割以上出勤した時点で付きます(労働基準法39条1項)。3か月の試用期間なら終わった時点ではまだ付いておらず、6か月の試用期間なら満了日の翌日が付く日に当たります。

出典