試用期間中の残業と残業代はどうなる?残業禁止・未払い・多すぎる時

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試用期間の残業と残業代のルール|残業禁止・未払い・多すぎる時の対処

更新日 2026-10-05

試用期間の残業と残業代のルール|残業禁止・未払い・多すぎる時の対処(試用期間ナビの記事)
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試用期間中に働いている人のために、労働基準法・労働契約法の条文と厚生労働省の資料を確かめて記事を書いています。個別の判断が必要なときは、労働局の総合労働相談コーナーや弁護士への相談をおすすめしています。

試用期間中も、残業(時間外労働)と残業代のルールは本採用後とまったく同じです。会社が残業や休日出勤をさせるには36協定(さぶろくきょうてい)を結んで労働基準監督署に届け出ている必要があり、1日8時間・週40時間を超えて働いた分には25%以上の割増賃金が付きます。

「試用期間中は残業代が出ない」という扱いは違法です。この記事では、残業代の計算例、残業禁止と言われた時の注意点、残業代が出ない時の記録と請求の仕方、残業だらけで多すぎる時の上限と相談先までを順に説明します。

この記事の要点

  • 試用期間中でも、残業させるには36協定が必要。割増賃金も本採用後と同じ率で付く
  • 残業代は「1時間あたりの賃金×1.25×残業時間」。月給は手当の一部を除いて1か月平均所定労働時間で割る
  • 「残業禁止」でも、終わらない量の仕事を任されて残っているなら、黙示の指示による労働時間になりうる
  • 未払いの残業代は3年さかのぼって請求できる。記録は手帳やメモでも証拠になりうる

試用期間中も残業のルールは同じ|36協定と割増賃金

法律で決まっている労働時間の上限(法定労働時間)は、休憩を除いて1日8時間・週40時間です(労働基準法32条)。休日は毎週少なくとも1日、または4週間で4日以上必要です(35条)。

これを超えて残業させたり、法定休日に働かせたりするには、会社が労働者の過半数で作る労働組合か過半数代表者と書面で36協定を結び、労働基準監督署に届け出なければなりません(36条)。36協定がないのに残業させれば違法です。試用期間中の人だけを例外にする決まりはありません。

残業代(割増賃金)も、雇用形態に関係なく、すべての労働者に払われます(労働基準法37条・厚生労働省「確かめよう労働条件」)。労働時間の決まりが当てはまらない人(41条の管理監督者など)に、試用期間中の人が含まれるわけでもありません。

残業の種類と割増率の早見表

働いた時間 割増率
所定労働時間は超えたが、1日8時間・週40時間の範囲内(法内残業) 法律上の割増は不要。働いた時間分の賃金は払われる
1日8時間・週40時間を超えた時間(時間外労働) 25%以上
時間外労働のうち、月60時間を超えた部分 50%以上
法定休日(週1日または4週4日)の労働 35%以上
午後10時〜午前5時の労働(深夜労働) 25%以上(時間外と重なれば合わせて50%以上)

割増率は政令と労働基準法37条で決まっていて、会社と本人が合意しても下げられません(大阪労働局)。月60時間超の50%は、2023年4月から中小企業にも当てはまっています(労働基準法37条・厚生労働省「確かめよう労働条件」)。

残業があるかは求人と労働条件通知書に書かれる

「所定労働時間を超える労働の有無」は、求人の時に示す事項であり(職業安定法施行規則4条の2)、入社時の労働条件通知書でも書面で示す事項です(労働基準法施行規則5条)。試用期間中の残業の有無や、固定残業代があるかは、まずこの2つで確かめます。

試用期間中に確かめておく残業の6項目

  1. 求人票・労働条件通知書に「所定労働時間を超える労働」が「有」となっているか
  2. 固定残業代(みなし残業代)があるか。あれば何時間分・いくらか
  3. 36協定で、月・年に何時間まで残業できると決めているか(特別条項があるか)
  4. 労働時間の記録方法(タイムカード・ICカード・パソコンのログ・自己申告)
  5. 残業の申請や指示のルール(誰の許可で残業するか)
  6. 朝礼・研修・着替えの時間を労働時間として記録しているか

試用期間の雇用契約書・労働条件通知書の見方について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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試用期間中の残業代の計算方法(計算例つき)

残業代は「1時間あたりの賃金 × 割増率 × 残業時間」で計算します。月給制の場合、1時間あたりの賃金は「月給 ÷ 1か月平均所定労働時間」です(労働基準法施行規則19条)。

月給から除けるのは、家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に払われた賃金・1か月を超える期間ごとに払われる賃金(賞与など)の7つだけです(労働基準法37条5項・施行規則21条)。名前ではなく中身で判断され、全員に同じ額を払う住宅手当などは除けません(厚生労働省「確かめよう労働条件」)。

計算例:試用期間中の月給22万円の場合

試用期間中の月給22万円(うち通勤手当1万円)、年間休日120日・1日8時間の人で計算します。

項目 計算
1か月平均所定労働時間 (365日 − 120日)× 8時間 ÷ 12 = 約163.3時間
1時間あたりの賃金 210,000円 ÷ 163.3時間 = 約1,286円
時間外労働1時間の残業代 約1,286円 × 1.25 = 約1,607円
月20時間の時間外労働 約1,607円 × 20時間 = 約32,140円
法定休日の労働1時間 約1,286円 × 1.35 = 約1,736円
深夜の時間外労働1時間 約1,286円 × 1.5 = 約1,929円

時給制のパート・アルバイトは、時給そのものが1時間あたりの賃金です。時給1,200円なら、時間外労働1時間の残業代は1,500円以上です。

シフト制などで1か月単位の変形労働時間制をとる会社では、残業の数え方が変わります。あらかじめ8時間を超える時間を決めた日はその時間を超えた分、決めていない日は8時間を超えた分が残業です(週・対象期間についても同じ考え方で数えます。東京労働局)。

労働時間は1分単位で数えるのが原則で、1日ごとの切り捨ては認められていません。認められているのは、1か月の合計で30分未満を切り捨て・30分以上を1時間に切り上げる処理などに限られます(厚生労働省「確かめよう労働条件」・大阪労働局)。「15分未満は切り捨て」という会社のルールは、この点で問題があります。

試用期間中の給料の決まりや、最低賃金を下回っていないかの確認方法について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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「試用期間中は残業禁止・残業させない」と言われたら

会社が試用期間中の人に残業をさせない方針を取ること自体は、問題ありません。残業を命じるかどうかは、会社が決められることだからです。

注意したいのは、「残業禁止」と言いながら、時間内に終わらない量の仕事を任される場合です。厚生労働省のガイドラインでは、使用者の明示または黙示の指示で業務に従事する時間は労働時間に当たるとしています。会社が残っていることを知りながら黙認している、終わらせるよう求めている、といった事情があれば、黙示の指示による労働時間と評価されることがあります。厚生労働省が紹介する裁判例でも、始業前の準備や事実上出席が義務の会議の時間が、黙示の指示による労働時間とされました(京都銀行事件・大阪高裁 平成13年6月28日)。

試用期間中に見落としやすい「これも労働時間」

場面 労働時間になる条件
制服・作業服への着替え 会社から着用を義務付けられている
朝礼・始業前の準備・終業後の掃除や後片付け 会社の指示による(慣例でも黙示の指示になりうる)
研修・勉強会 参加が義務、または事実上強制されている
電話番・来客待ち(手待時間) 指示があればすぐ働くことを求められ、離れられない
業務に必要な学習 使用者の指示による

(厚生労働省ガイドライン・東京労働局)

仕事が時間内に終わりそうにない時は、黙って残らず、上司に「今日中に終わらないので、明日に回すか、残業してよいか指示をください」と相談してください。指示を受けて残業したのなら、残業代の対象です。残業の指示や会話は、メールやチャットで残しておくと後で確かめやすくなります。

試用期間中に会社がどこを見て本採用を判断しているかについて詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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試用期間中に残業代が出ない時の対処

会社の説明と法律の扱い

会社の説明 法律・公式の扱い
試用期間中は残業代が出ない決まり 割増賃金は雇用形態に関係なく必要(労働基準法37条)
研修中なので残業ではない 参加が義務の研修は労働時間(ガイドライン)
自主的に残っていただけ 明示・黙示の指示があれば労働時間(ガイドライン)
残業は申請制で、申請がないから払わない 自己申告制でも、会社は実態と違わないか確かめて補正する。申告できる残業時間に上限を設けて、正しい申告を妨げてはならない(ガイドライン)
固定残業代(みなし残業代)に含まれている 決めた時間を超えた分は追加で払う。過不足を翌月に繰り越して相殺することはできない(厚生労働省「確かめよう労働条件」)
管理職だから残業代はない 肩書ではなく、経営者と一体的な立場か・出退勤の裁量・待遇で判断する
36協定の上限の分までしか払わない 上限を超えた違法な残業でも、働いた分の割増賃金は払う必要がある(厚生労働省「確かめよう労働条件」)

管理職扱いについては、高い年俸で採用され、3か月の試用期間満了時に本採用を拒否された人が残業代を求めた事件でも、管理監督者とは認められませんでした(HSBCサービス・ジャパン・リミテッド事件・東京地裁 平成23年12月27日。厚生労働省「確かめよう労働条件」で紹介)。

固定残業代(みなし残業)がある場合

固定残業代は、通常の賃金と残業代の部分がはっきり区別でき、実際の残業代が固定残業代を上回る時は差額を払うことが前提です(厚生労働省「確かめよう労働条件」で紹介されている医療法人康心会事件・最高裁 平成29年7月7日など)。若者が応募する可能性のある求人では、①固定残業代を除いた基本給の額、②何時間分でいくらか、③超えた分は追加で払うこと、の3つを示すよう求められています(若者雇用促進法に基づく指針。厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク)。

試用期間中の給与明細で、固定残業代が何時間分か分からない時は、会社に確認してください。その時間を超えて残業した月に追加の残業代がなければ、未払いの可能性があります。

未払いの残業代を請求する手順

  1. 働いた時間を記録する:タイムカードの写し、パソコンのログ、業務メールの送信時刻、自分の手帳や日記(始業・終業・休憩の時刻と、指示した人)
  2. 残業代を計算する:上の計算例のように、1時間あたりの賃金と割増率から出す
  3. 会社に書面で請求する:メールなど記録が残る形で、期間・時間・金額を示す(下の例文)
  4. 応じない時は労働基準監督署に相談する:法律違反の事実を申告でき、申告を理由に解雇などの不利益な扱いをすることは禁じられている(労働基準法104条)

厚生労働省が紹介する裁判例の考え方では、タイムカードがなくても、労働者が作った業務日誌や個人的な日誌・手帳などで一応の証明がされ、会社が反証できなければ請求が認められることがあります。残業代(賃金)の請求権は3年で時効になります(労働基準法115条・附則143条)。試用期間中に辞めた後でも、3年以内なら請求できます。

【未払いの残業代を請求するメールの例】 人事ご担当者様 〇月〇日に入社した〇〇です。〇月分の時間外労働の賃金について確認させてください。 私の記録では、〇月は所定労働時間を超えて合計〇時間勤務しましたが、〇月分の給与明細には時間外手当の記載がありませんでした。勤務記録を添付しますので、ご確認のうえ、お支払いの予定をお知らせいただけますでしょうか。 よろしくお願いいたします。

試用期間なのに残業だらけ・残業が多い時

36協定があっても、残業は無制限にはできません。上限は労働基準法36条で決まっています。

区分 上限
原則(限度時間) 時間外労働が月45時間・年360時間まで
臨時的な特別の事情がある場合(特別条項) 時間外労働が年720時間以内
同上 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
同上 時間外労働と休日労働の合計の2〜6か月平均が、どれも月80時間以内
同上 月45時間を超えられるのは年6か月まで

(建設・自動車運転・医師など一部の業務には別の決まりがあります)

自分の職場の36協定の内容は、会社が見やすい場所に掲示するなどして周知しなければならないものです(労働基準法106条)。試用期間中から残業だらけだと感じたら、36協定で何時間まで決められているかを確かめてください。

働いた時間が週40時間を超えた分が月80時間を超え、疲れがたまっている人は、会社に申し出れば医師の面接指導を受けられます(労働安全衛生法66条の8・労働安全衛生規則52条の2・52条の3)。長時間労働が続いて体調を崩しそうな時は、早めに上司や人事に伝えてください。

試用期間中の残業の多さを理由に辞めるか続けるかで迷っている場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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試用期間中の休日出勤

休日出勤には2つの種類があり、残業代の付き方が違います。

休日出勤の種類 割増率
法定休日(週1日または4週4日の休日)の出勤 35%以上(36協定が必要)
法定休日以外の休日(週休2日のもう1日など)の出勤 その週の労働時間が40時間を超えた分は時間外労働として25%以上

休日出勤の代わりに休みをもらう場合、扱いは2つに分かれます。前もって休日と労働日を入れ替える「振替休日」なら休日労働にならず、休日の割増は不要です。休日に働いた後で休みをもらう「代休」は休日労働なので、休日の割増が必要です(厚生労働省「確かめよう労働条件」・東京労働局)。振り替えた結果、その週が40時間を超えれば、超えた分は時間外労働の割増が付きます。

試用期間中に残業を断れる?断ったら本採用に響く?

36協定があり、就業規則や雇用契約で残業を命じることがあると決めている会社では、一般に、正当な理由なく残業の指示を断ることはできないと解されています。一方、次の場合は断れます。

  • 36協定がない、または協定の上限を超える残業:その残業自体が違法
  • 妊娠中・産後1年以内の人が請求した場合:時間外労働・休日労働をさせてはならない(労働基準法66条)
  • 小学校入学前の子を育てる人が請求した場合:残業の免除(育児・介護休業法16条の8)や、残業を月24時間・年150時間までにする制限(同法17条)がある(事業の正常な運営を妨げる場合を除く)

ただし、育児のための残業の制限(17条)は、入社から1年未満の人は請求できません。残業の免除(16条の8)も、労使協定で入社1年未満の人を対象外にできます。試用期間中に子育てとの両立が必要な人は、就業規則と労使協定を確認してください。

本採用の見送りは、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合に限られます(三菱樹脂事件・最高裁 昭和48年12月12日)。残業を断る時は、理由(通院・家庭の事情・体調など)を伝え、翌朝早く対応するなどの代わりの案を出し、やりとりを記録に残してください。

試用期間の本採用見送りの理由と、された時の対処について詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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試用期間中の残業・残業代の相談先

困っていること 相談先
残業代が払われない・36協定がない・上限を超える 労働基準監督署(法律違反の申告ができる)
会社との話し合いがこじれた・残業を断った後の扱い 総合労働相談コーナー(各都道府県労働局・労働基準監督署の中。予約なし・無料)
平日の夜や土日に相談したい 労働条件相談ほっとライン(厚生労働省の委託事業。無料・匿名可。平日17時〜22時、土日祝9時〜21時)

ほっとラインは電話相談の窓口で、会社への指導はできません。会社への指導を求める時は、労働基準監督署に相談してください。

残業代の請求や相談をきっかけに解雇を告げられた時の扱いについて詳しく知りたい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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よくある質問

試用期間中に残業がない(残業なし)のは普通ですか?

会社によります。試用期間中は残業させない方針の会社もあれば、本採用後と同じように残業がある会社もあります。残業の有無は求人と労働条件通知書に書かれる事項なので、まずそこを確かめてください。

試用期間中の残業は違法ですか?

36協定を結んで届け出ていて、その上限の範囲内なら違法ではありません。36協定がないのに残業させることや、上限を超える残業は違法です。

試用期間中の残業代はいつ払われますか?

残業代も給料なので、決まった支払日に払われます(労働基準法24条2項)。東京労働局は、その月の締め期間中の休日出勤の割増賃金は、その月の賃金支払日に払うとしています。

試用期間中は正社員扱いではないから、残業のルールも違うのですか?

違いません。試用期間中も労働契約は成立していて、労働基準法の労働時間・休日・割増賃金の決まりはそのまま当てはまります。

出典